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文字数 875文字


痛い。さっきからずっと、後頭部が、痛い。
わかってる、この小刻みに突いてくる物の正体は。うつ伏せで寝ていてよかった。

「起きます・・・起きますから・・・」

気合いを入れて即座に起き上がり、ベッドにあぐらをかいた。

「顔は起きてないわよ」

「・・・ほはようございます」

「もうお昼よ」

「えっ」──本当だ。時計はもうすぐ午後を迎えようとしている。「空舞さん、その公園に行ってきたんですか?」

「その前に、鏡を見たほうがいいわよ」

「・・・そんなに酷いですか」

「ええ」

携帯のカメラを起動して自分に向け、絶句した。誰だお前は?猿みたいな赤い顔に、スーパーサ◯ヤ人のようにそびえ立つ髪。
ああ、昨日シャワーを浴びて、そのまま乾かずに寝たんだっけ。ショートヘアはクセがつきやすいのがネックだ。見るに耐えれず携帯を伏せた。

「それで、どうだったんですか?」

空舞さんは顔を背けて、何も答えない。何か問題でもあったんだろうか?

「空舞さん?大丈夫ですか?」

そのうち、空舞さんの羽が小刻みに揺れ始めた。

「いえ、ごめんなさい。だって、あなた・・・あなたのその・・・」

ああ、声も身体も震えてるのは笑ってるからね。

「顔洗ってきます」

洗面所の鏡で自分の顔を見た時、空舞さんの気持ちがわかった。誰だって、笑うわな。ここに写っているのは、妖怪か?
水で髪を濡らし、ドライヤーをかけると幾分マシになったが、これは出勤前にもう1度シャワーを浴びる事になりそうだ。

「足の具合はどう?」

部屋へ戻ったわたしに空舞さんが聞いた。

「あ、大丈夫です」

「大丈夫な割には、遊里に背負われてたわね」

そこまで見ていたのか。

「軽い捻挫なんで、そのうち治ります」

「あなたは、自分の事には本当に無頓着ね」

「・・・心配してくれてるんですか?」

からかうように言うと、空舞さんはわたしの肩に飛んできた。そしてクチバシでわたしの頬を撫でる。

「当たり前でしょ。あなたは友達よ」

「・・・ふふ、そうですね」ツンデレとは、こういう事なのか。わたしも空舞さんの頭を指で撫でた。

「愚かなのに変わりはないけど」

へいへい。空舞さんの憎まれ口にも、慣れてきた。
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