其の百七十四 彼氏と彼女 (修正)

文字数 1,263文字

勝手ながらすこし直しました……





【君を強くすることは簡単にできる。
そして梅毒に侵されたその体を、キレイにする算段もつけることができた。】

……

【これらを済ませれば、人を超えた存在になれる。
これまでの自分とは全くの別人になれる。】

………

【問題はあなた自身にある。
もし、過去に区切りを入れられずに引っ掛かりを持った状態が続けば――】

………うん

【君は死ぬ。それも最も自分の望まない死に方になる。】

………―――

【それじゃ自分に勇気付けをやろう。
『あなたは何を願う?』】



-―――――――――――-―――――――――――


「君を殺しに来た。」

目の前のスーツの男は淀みなく言った
ネクタイをしっかり喉元に閉めて、その身体は服越しでも分かるくらいに屈強なものであった。

滝の流れ落ちる音が過敏に二人の耳に流れ落ちる

「ようやく来たのね。」

「………」

「どう? いまの私ってキレイだと思う?」

それは身体的か、またはスカーフのせいか、宮城の声は籠った機械音と遜色なかった

そんな彼女を見ながらも【上崎レイジ】は顔色が変わることはなかった
その代わりに、内ポケットにしまっていた一通の手紙を、投げ渡した

「君は助けを求めていた――。」

宮城はその手紙を受け取った瞬間に、それを氷のチリへと変えた

【海の飲みかたは分かった?】

「フン……、【昔の私】がほざいた戯言よ。
もうなんの意味もなさないわ。」


上崎は一歩、二歩と彼女に近づいていく


「それで、いまさら何をしにきたの?」

落ち着きを示すよう上崎は音を立てずに足を止めた

「あなたと【契りを結んだ】のはもう何年も前のことよ。
いまさら彼氏面されるほど、私は【弱くない】。
これを見なさいよ。」

彼女は煙を上げている町と滝に指をさす

「いまの私は強くなったのよ。
もう誰にも頼ることもなく、誰かに依存することなく、私は生きていける。
昔の私と今の私は違うのよ。
初めから力も知識も金も持っていたお前とは違う!」

宮城の気迫によって冷気が吹き荒れ、レイジの手にアカギレを起こす

「私はね――【許せなかったの】。
自分で努力したわけでもないくせに、あたかも自分の物のように振る舞う【お前たちが】。
当たり前のように生活を享受してきたあなたに何が分かるっていうのよ?
これはね私が望んだのよ!
殺人も虐殺も全部――私が血反吐を吐いて選んだのよ!」

武装とスカーフによって影がつくられた結果、警告灯のように滲んだ瞳が人間味の無さに拍車をかけていく

「善人は言うわ、【復讐は何も生まない】と。
でもしなくても人は生き返らないじゃない。 
だったら欲に任せて自分のしたいことをした方がよっぽど人間味があると思うけど。
復讐こそが自分の未練にケジメをつける唯一の【救い】なのよ!」


宮城キョウコは、地面に足跡を残しながら襲い掛かった


「それを――ぬくぬくと平和ボケしたゴミ共が、気安く否定するな!!」


「復讐はケジメをつけると言った――、なら君はその先に何を願っている!!?」


拳を突き出し――男と女がぶつかりあった


【君は死ぬ。それも最も自分の望まない死に方になる。】

その答え合わせが始まった
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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