其の九十八 早妃カズミの歓喜
文字数 612文字
【11区の戦い】から二日後のある日
中央体育館よりバレーの公式試合が行われていた。
『ミオ 、もう何もしなくていいからね。』
歓声とどよめきが混ざり合ったコートの中で彼女の言葉が泳いだ
10月上旬 2年1組教室
「~~であり、だからこの積の極形式の証明は
r1r2〔cos(θ1+θ2)+isin(θ1+θ2)〕
と、なります。先生これでいいですか?」
「う、うむ……」
「あの問題よくわかったな……」
目の前の席に座る木場タカアキがこっそりと話しかける。
「いったでしょ。いまの私なら何でもできるのよ。」
堂々としたピースと笑顔で返した。
3階廊下
「なんだか久しぶりですね。福栄シンゾウ先輩。」
脇に書類を挟んだ男子生徒に挨拶をする。
「久しぶり早妃カズミさん。
君の武勇伝は聞いているよ。20-6から逆転したバレー部の救世主、中間テスト500点中498点の天才さん…
もしかして何かあった?」
白い顔をさらに爽やかにしてシンは問いかけた。
彼女の眼帯の奥を見据えて。
「えー、会長の耳にも聞こえてるんだー。
ふふ、いいえ別に。
強いて言えば『
彼女もまたシンの黒い瞳を一瞥する。
「会長こそ何かありました?
以前より明るくなっちゃって。」
「あはは。
君と同じだよ。」
「うふふふふふふふふふふふふふふふふ」
「あはははははははははははははははは」
そうして物理室の住人に会いに行く。
「残念電話中か。
先輩の血ぃ~、早く飲みたいのになーー。」
中央体育館よりバレーの公式試合が行われていた。
『
歓声とどよめきが混ざり合ったコートの中で彼女の言葉が泳いだ
10月上旬 2年1組教室
「~~であり、だからこの積の極形式の証明は
r1r2〔cos(θ1+θ2)+isin(θ1+θ2)〕
と、なります。先生これでいいですか?」
「う、うむ……」
「あの問題よくわかったな……」
目の前の席に座る木場タカアキがこっそりと話しかける。
「いったでしょ。いまの私なら何でもできるのよ。」
堂々としたピースと笑顔で返した。
3階廊下
「なんだか久しぶりですね。福栄シンゾウ先輩。」
脇に書類を挟んだ男子生徒に挨拶をする。
「久しぶり早妃カズミさん。
君の武勇伝は聞いているよ。20-6から逆転したバレー部の救世主、中間テスト500点中498点の天才さん…
もしかして何かあった?」
白い顔をさらに爽やかにしてシンは問いかけた。
彼女の眼帯の奥を見据えて。
「えー、会長の耳にも聞こえてるんだー。
ふふ、いいえ別に。
強いて言えば『
朝日がキレイに思える
』ってだけですよ~。」彼女もまたシンの黒い瞳を一瞥する。
「会長こそ何かありました?
以前より明るくなっちゃって。」
「あはは。
君と同じだよ。」
「うふふふふふふふふふふふふふふふふ」
「あはははははははははははははははは」
そうして物理室の住人に会いに行く。
「残念電話中か。
先輩の血ぃ~、早く飲みたいのになーー。」