其の四十六 ……の意味
文字数 1,177文字
生命が生まれて40億年――。
ありとあらゆる生命たちが死に絶えた――が地球は
満足していない
。そもそも地球は『生命』を良く思ってなどいなかった。
『生命』が生まれるなど地球にとって想定外だったのだ。
だが、それとは裏腹に『生命』は何度死んでも、死んでも、死んでも、死んでも――今日まで死に絶えることはなかった。
オレの家族は死んだ。
祖父の認知症に始まり……家族はキレイに砕け散った。
父と母は動脈を掻き切って、二人仲良く死んだ――らしい。
その状況に祖母は嘆いた。けれど、前を見続けた。
少ない金をはたいて、ミイラ同然のオレの口に食べ物を運び続けた。
家から病院まで歩いて46分。雨の日、晴れの日、見舞いにきてくれた。
11区の牛神様にも何十回とお祈りを捧げたらしい。
結果――祖母は死んだ。
オレも死んだ。
卒業式も、ビールの味も、女の味だって何一つ知らずに。
最後に残った
神様はいることでしょう。
でも、オレを救わぬ神などいらない。
しかし残念なことに、『そんな神』は無言で私を見下してくる。
オレは神を必要としない。
――『地球』はこれを好機とみた。
『オレは
神
を必要としない』『
生命
を必要としない』「はあぁ……」
510100000㎢のヌラヌラと、赤黒い血の海の中央に全身真っ黒の『それ』は佇んでいた。
「まだか……?」
脛まである海をかき分けながら、
どこか遠いところにある
潰れたトマトのような太陽の方向へと進む。「はやく、はやく『この世』にいきたい……なぁ。」
気が済んだのか歩みを止めて、いつの間にかあった木製の椅子へと腰を掛けた。
深く深く、腰を、背を、つけた。自らを落ち着かせるように。深く深く。
「もうすこし、よ。もう少しで、私自らの手で………は、ハハハハハははははははははははは。」
ごほ、ごほ、と話し慣れていないのか咳き込んだ。
「なるべく、はやく、してね。
『それ』は、楽な姿勢を作る様に足をゆったりと組んだ。
その後ろに1,10,100,1000,10000、100000、1000000、10000000、100000000-―――ぼんやりと朱い瞳が浮き上がる。
「――面白いものね。
ひじ掛けに両腕を置き、甘美な吐息を奏でた。生暖かい空気が漂う。
「まってるから、ね。
吉田ミョウ君
」「
パーフィット
のやつ今日は喋るなぁ。少しは自重してくれんかね。」吉田先輩!早く!!3段階目の練習しますよ!!!
「わかったわかった、すぐにいくよ!」