其の八十九 玉砕上等……

文字数 885文字

走る

走る走る

自分の『良心』だけを燃料として

警察という『誇り』を抱いて

英雄という『魅力』に高揚感を感じながら

三島は焦げ跡残る川道に入る。

あらゆる蟲の甲殻、卵を踏み砕きながら

少女のもとへと向かう。


―――――――――――――

なぁ、原子爆弾って誰が作ったんだ?

男は空を見上げて息を吐き出しながら、目の前の神官と目を合わせた。

78年前の8月にこの国に落とされただろう?二回。
あれは酷かったなぁ。よく覚えてるぜ。

死体と化した母親の乳を飲む赤子。

大腸、小腸を引きずりながら水を求める男、女。

全身ガラスの山となりながら朝食の箸を持ち続ける男児、女児。

原因はなんだ?戦争だよなぁ?
誰が起こした?今を生きるお前たちだよなぁ?

『なにが言いたい!!??』
しびれを切らし大神が口を開いた。

「乱獲に乱伐に乱開発に――この惑星(祝福舞台)で繰り返す自然破壊!

虐待拷問に人権は無く!!

植え付けたのはプロパガンダだけじゃねぇのか!!!!

貴様ら(生者)が正しいとでも言いたいのか!!?

■■■■■という救済の代行者(死体)を使役している貴様らが、

正義とでも言いたいのか!!!!!!!!!」


その瞬間早妃ショウゾウの身体は潰された

「ゴホッッ―――」

『ッッんん!!!!!』

白目を真っ赤に充血させながら、その爪で男の胴体に突き刺していく。

「返す言葉もねぇから力でねじ伏せる。俺の言う通りじゃねぇか。

おい。」

目の前の大神に――ではなく真顔でこちら見つめ続ける女性に声を掛ける。
見た感じ、助ける気は無いようである。

「役者ごっこは終わりだ。ここを去れ『早妃フミコ』。
どのみち俺は助からねぇよ」

「……。

……。」

それを聞いた女性は瞳だけ最後まで向けて、そっけなく背を向けた。



『逃がすわけなかろう!!!貴様らは全て皆殺し――!???』
女に牙を立てようとしたが近づくことが出来ない。

「ま、、てよ。俺はまだ、、死んでねぇんだぜ?」
胴体に突き刺さった爪を両手で掴む男の姿があった。

『こ、、の、、くたばり損ないガああぁぁぁアアアア!!!!!!!!!』

「玉砕上等――最後まで燃え尽きようじゃねぇか。」



か細くも、芯のある火柱が曇天へと上がった

雨はもうふってはいなかった
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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