其の十九 勉強嫌いは万人の共通点!
文字数 968文字
「小僧――、お前は勉強もまともにできんのか?」
ラックは、地学の教科書を凝視している吉田に向かって呼びかけた。
「―――。いや、ちゃんと勉強してるぞ。」
「そのページを眺めて20分程になるが、なら勉強したことを儂に聞かせてみろ。」
「ふん、ここをみろ約40億年前に生命が生まれた書いてある、」
「ほう……」
「……すごくない?」
ラックの表情はじわぁっと砂のように変わっていった。
「それで?」
「すごくない?」
トテトテとその小さな黒い前脚で教科書をふみ、ズイと吉田に顔を近づけた後、ラックはしっぽでナオミ達の顔を指した。
「見ろ、おまえのやる気のなさが伝染しているではないか。」
「えーそれオレのせいぃ?
だが見てみろよ、あの二人の顔は根元から元気のない表れだぜぇ。」
しっぽに続き、気だるげに指をさす吉田。
「来週期末テストという時期に入ったのに、茫然としているあなた方を見ていると羨ましく思うだけです。」
「……それ私も入ってるの?」
「オレも入ってるのか……?」
パタンと教科書をとじ、ヨウは二人に目線を移した。
「二人に言ってるのです。少なくとも勉強をしているのですから、ペンくらいもったらどうです?」
ナオミは白紙のノートを、吉田はそのままの教科書に目を落とす。
「そう、よね。勉強、よね。もちろんやるわよ……!」
はねた髪をさすりながら、彼女は錆びた無色のシャープペンシルを取り出した。
「………」
彼は無言で立ち上がり、酔っぱらいの様にフラフラと教室を徘徊し始めた。
「ど、どうしたのじゃ―?急に。」
「つかれた――、だからこうしてあるいてんのよ。
まったく勉強などしたくないのになー。真面目にやってるお前たちがおかしいんだよ。」
お外を散歩する保育園児のように、教室のドアの前に立ちヨウ達へと振り返り不審者を見るような目で物を言った。
「そういうのは、思っても口にしないものです。それに、ちゃんと勉強している僕たちがなぜそう言われないといけないのです?」
ガジガジとペンを無意味に動かしてお絵描きをするナオミを、ラックは奇妙に思いながら見つめている。
コンコンと吉田は背のドアを小突いた。
「真っ当な生徒は、今頃自教室で放課後自学をしている。
――なぜお前たちはここに来た?」
ぺキっと芯が折れる音がした。
ラックは、地学の教科書を凝視している吉田に向かって呼びかけた。
「―――。いや、ちゃんと勉強してるぞ。」
「そのページを眺めて20分程になるが、なら勉強したことを儂に聞かせてみろ。」
「ふん、ここをみろ約40億年前に生命が生まれた書いてある、」
「ほう……」
「……すごくない?」
ラックの表情はじわぁっと砂のように変わっていった。
「それで?」
「すごくない?」
トテトテとその小さな黒い前脚で教科書をふみ、ズイと吉田に顔を近づけた後、ラックはしっぽでナオミ達の顔を指した。
「見ろ、おまえのやる気のなさが伝染しているではないか。」
「えーそれオレのせいぃ?
だが見てみろよ、あの二人の顔は根元から元気のない表れだぜぇ。」
しっぽに続き、気だるげに指をさす吉田。
「来週期末テストという時期に入ったのに、茫然としているあなた方を見ていると羨ましく思うだけです。」
「……それ私も入ってるの?」
「オレも入ってるのか……?」
パタンと教科書をとじ、ヨウは二人に目線を移した。
「二人に言ってるのです。少なくとも勉強をしているのですから、ペンくらいもったらどうです?」
ナオミは白紙のノートを、吉田はそのままの教科書に目を落とす。
「そう、よね。勉強、よね。もちろんやるわよ……!」
はねた髪をさすりながら、彼女は錆びた無色のシャープペンシルを取り出した。
「………」
彼は無言で立ち上がり、酔っぱらいの様にフラフラと教室を徘徊し始めた。
「ど、どうしたのじゃ―?急に。」
「つかれた――、だからこうしてあるいてんのよ。
まったく勉強などしたくないのになー。真面目にやってるお前たちがおかしいんだよ。」
お外を散歩する保育園児のように、教室のドアの前に立ちヨウ達へと振り返り不審者を見るような目で物を言った。
「そういうのは、思っても口にしないものです。それに、ちゃんと勉強している僕たちがなぜそう言われないといけないのです?」
ガジガジとペンを無意味に動かしてお絵描きをするナオミを、ラックは奇妙に思いながら見つめている。
コンコンと吉田は背のドアを小突いた。
「真っ当な生徒は、今頃自教室で放課後自学をしている。
――なぜお前たちはここに来た?」
ぺキっと芯が折れる音がした。