其の百十二 万事休すの作戦!!!
文字数 1,853文字
「勢いは良いが、あんたに何か策はあんのか?」
鼻血を拭いながら、カイは尋ねる。
「クソ猫にゃあ、これ以上ないくらいこの拳をぶち込んだが、牙と爪を一本ずつ折った程度で、何も決定打になってねぇ。」
刑事はため息をつく。
「ククク、全長7メートルのサーベルタイガーに立ち向かってそんなセリフが吐けるとはな。
本当に学生か?」
目の前の黒豹が唸り声を上げ、一歩踏み出す。
「……で、どうなんだ?
策はあるのか無いのか。」
「あるさ。この警棒をヤツの急所にぶち込む。」
桜はヒビの入った黒い警棒を視界に入れる。
「それだけか……??
そんな貧相なモンに何ができるってんだ」
「いいか。大窄カイ君。
この世界には常識では考えられない【力】がある。目のまえにいる化け物だってそうだ。
もし、この警棒にもそれが宿っていたら?」
「……そんなオカルトじみた話を信じろってのか。」
「そんなオカルトを、体験したことはないかい?」
桜はわざわざ問いかけた。
3年前――朱い目をした女子大生が道案内したのを思い出す。
「………!!」
「考えるのは生き残ってからだ。
いいかまず目標は殺せねぇ。体力の差を考えて諦める。
カイお前は注意を引け。
その隙に俺が叩く。どちらかが動けんくなっても、俺が決めきれんくても一発アウト。
その時はおとなしく死んでくれや……!!!」
桜は意識して口端を上げてぎこちない笑顔を作り出す。
「ハハハ、最初会ったときとは偉い違いだな!!!
いいぜ、上等!!上等ッッ!!!
生きる死ぬかワンチャンス!!!テメェの命も他人の命も勝手に掛けていこうじゃねぇか!!!」
その言葉を合図にカイは、いち早く飛び出した――
――ガルルウゥぅ!!!
それに呼応して、アスファルトを粉々に踏み砕き、赤い残光を散りばめながら、黒豹は飛び掛かった。
辺りの木々や畑を切り倒し、掘りおこしながらあらゆる方向から牙や爪が襲い掛かってきた
「ッ――!!
クッソ――!!!速い!!こいつ手加減してやがったのか、、!!??」
制服の一部が切除されたのを横目に、なりふり構わずカイは走り回る。
「攻撃する隙もねぇ――!!
やっぱあの警官に全部掛けるしかねぇか――ッッ!!!!」
ついに服だけでなく、腕の皮膚も筋肉も裂かれ、腹に笑えない猫パンチをお見舞いされた。
「ヴォえア………ッッ!!!」
ペットボトル一本分の血を吐きながら、カイは道路を転がって、木々を倒しながら乾燥した抹茶色畑に突っ込んだ。
次。と言わんばかりに返り血を垂らしながら、黒豹は刑事の方向に踏みつぶす勢いで向かってくる。
「カイ……!!??
ちくしょうッッがあああぁぁあああ!!!!!」
絶望しながらもがむしゃらに桜は警棒を振り上げた――。
血色の猫パンチと黒く蒼みを帯びた警棒が火花を起こしてぶつかった。
桜自身は非力な方ではあったが、黒豹のほうが若干押されていた。
(やっぱりそうだ。神官殿が施術したこの警棒ならダメージが入る!!)
その一瞬の安堵したとき、警棒の柄どころか、全体に縦向きのヒビが耳を突くように入ってきた。
「――!!??」
本能的に身を引いた桜は顔面の真正面から、猫パンチを喰らった。
4回、5回、頭や腰でバウンドしながら転がっていく。
転がっているときのわずかな視界から、黒豹が牙をむきだしながら近づいてくる。
おそらくこの警棒が脅威であることを察したのだろう。
「ゲッホ…ゴホ……、
いいぜ、、どうせ死ぬんなら、、、な!!!」
人間が一人まるごと入る大きな口に、桜は先の無い左肩を黒豹に噛みつかせた―――
あっつあつのハンバーグから溢れる肉汁のように肩から血とそれに伴った体液があふれ出てきた。
「があぁぁ……!!!
グゥゥ……!!!フヴぅぅぅ……!!!!!」
肩の骨に冷たく硬い感触がやすりのように撫でおろすなか、桜は右手に持った警棒を構える。
――あとはぶち込めばいいだけだが、噛み千切ろうとしているのか黒豹に振り回されて、安定した態勢がとれずじまいなっていた。
(クソがぁぁ、、ここまできたってのに、、
いしきがぼやぼやになってきたじゃねぇか、、、)
身体の先が冷たくなってきているなか、黒豹の朱い目と合った――
「こんのおお、化け猫風情がああああぁぁあッッッ!!!!!」
不意に桜と黒豹の態勢が低くなった。
黒豹の背中に切り倒された巨木が圧し掛かっていたのだ
――ガァぁぁア!!???
そして首にヘッドロックが掛けられる。
「おい!!
警官!!!
早く!!!早く!!!!」
脳内に響く声が刑事の体を無意識に動かした。
―――ッッッ!!!!
特殊な警棒は力任せに、乱暴にその眼球をかき混ぜた
鼻血を拭いながら、カイは尋ねる。
「クソ猫にゃあ、これ以上ないくらいこの拳をぶち込んだが、牙と爪を一本ずつ折った程度で、何も決定打になってねぇ。」
刑事はため息をつく。
「ククク、全長7メートルのサーベルタイガーに立ち向かってそんなセリフが吐けるとはな。
本当に学生か?」
目の前の黒豹が唸り声を上げ、一歩踏み出す。
「……で、どうなんだ?
策はあるのか無いのか。」
「あるさ。この警棒をヤツの急所にぶち込む。」
桜はヒビの入った黒い警棒を視界に入れる。
「それだけか……??
そんな貧相なモンに何ができるってんだ」
「いいか。大窄カイ君。
この世界には常識では考えられない【力】がある。目のまえにいる化け物だってそうだ。
もし、この警棒にもそれが宿っていたら?」
「……そんなオカルトじみた話を信じろってのか。」
「そんなオカルトを、体験したことはないかい?」
桜はわざわざ問いかけた。
3年前――朱い目をした女子大生が道案内したのを思い出す。
「………!!」
「考えるのは生き残ってからだ。
いいかまず目標は殺せねぇ。体力の差を考えて諦める。
カイお前は注意を引け。
その隙に俺が叩く。どちらかが動けんくなっても、俺が決めきれんくても一発アウト。
その時はおとなしく死んでくれや……!!!」
桜は意識して口端を上げてぎこちない笑顔を作り出す。
「ハハハ、最初会ったときとは偉い違いだな!!!
いいぜ、上等!!上等ッッ!!!
生きる死ぬかワンチャンス!!!テメェの命も他人の命も勝手に掛けていこうじゃねぇか!!!」
その言葉を合図にカイは、いち早く飛び出した――
――ガルルウゥぅ!!!
それに呼応して、アスファルトを粉々に踏み砕き、赤い残光を散りばめながら、黒豹は飛び掛かった。
辺りの木々や畑を切り倒し、掘りおこしながらあらゆる方向から牙や爪が襲い掛かってきた
「ッ――!!
クッソ――!!!速い!!こいつ手加減してやがったのか、、!!??」
制服の一部が切除されたのを横目に、なりふり構わずカイは走り回る。
「攻撃する隙もねぇ――!!
やっぱあの警官に全部掛けるしかねぇか――ッッ!!!!」
ついに服だけでなく、腕の皮膚も筋肉も裂かれ、腹に笑えない猫パンチをお見舞いされた。
「ヴォえア………ッッ!!!」
ペットボトル一本分の血を吐きながら、カイは道路を転がって、木々を倒しながら乾燥した抹茶色畑に突っ込んだ。
次。と言わんばかりに返り血を垂らしながら、黒豹は刑事の方向に踏みつぶす勢いで向かってくる。
「カイ……!!??
ちくしょうッッがあああぁぁあああ!!!!!」
絶望しながらもがむしゃらに桜は警棒を振り上げた――。
血色の猫パンチと黒く蒼みを帯びた警棒が火花を起こしてぶつかった。
桜自身は非力な方ではあったが、黒豹のほうが若干押されていた。
(やっぱりそうだ。神官殿が施術したこの警棒ならダメージが入る!!)
その一瞬の安堵したとき、警棒の柄どころか、全体に縦向きのヒビが耳を突くように入ってきた。
「――!!??」
本能的に身を引いた桜は顔面の真正面から、猫パンチを喰らった。
4回、5回、頭や腰でバウンドしながら転がっていく。
転がっているときのわずかな視界から、黒豹が牙をむきだしながら近づいてくる。
おそらくこの警棒が脅威であることを察したのだろう。
「ゲッホ…ゴホ……、
いいぜ、、どうせ死ぬんなら、、、な!!!」
人間が一人まるごと入る大きな口に、桜は先の無い左肩を黒豹に噛みつかせた―――
あっつあつのハンバーグから溢れる肉汁のように肩から血とそれに伴った体液があふれ出てきた。
「があぁぁ……!!!
グゥゥ……!!!フヴぅぅぅ……!!!!!」
肩の骨に冷たく硬い感触がやすりのように撫でおろすなか、桜は右手に持った警棒を構える。
――あとはぶち込めばいいだけだが、噛み千切ろうとしているのか黒豹に振り回されて、安定した態勢がとれずじまいなっていた。
(クソがぁぁ、、ここまできたってのに、、
いしきがぼやぼやになってきたじゃねぇか、、、)
身体の先が冷たくなってきているなか、黒豹の朱い目と合った――
「こんのおお、化け猫風情がああああぁぁあッッッ!!!!!」
不意に桜と黒豹の態勢が低くなった。
黒豹の背中に切り倒された巨木が圧し掛かっていたのだ
――ガァぁぁア!!???
そして首にヘッドロックが掛けられる。
「おい!!
警官!!!
早く!!!早く!!!!」
脳内に響く声が刑事の体を無意識に動かした。
―――ッッッ!!!!
特殊な警棒は力任せに、乱暴にその眼球をかき混ぜた