其の九十三 吉田ミョウと奇妙な出来事たち~~
文字数 1,317文字
「……上記の事件により五十ノ島は未曽有の危機にさらされている。我々島民も安全のある行動を心掛けるべきである。
だってさ吉田。俺たちがこうして物理室でバイオリン弾いてる中大変なことが起きてるんだってよ。
実感はわかねぇが、体育祭も中止になって今も先生たちが警察の取り調べ受けてるところによるとヤバいんかなぁ?
なぁ急にこんなになっておかしくないか?
今日は生徒会の集まりだってのに、集まったの会長のシンと俺と吉田の三人だけだっし。
なんだっけ?
三尾アヤカは原因不明の高熱。
ハチミツと雨宿スイは二人仲良く体調不良。
大浜ナオミはクラス数人に対して暴行、3週間の停学。
ラックもこの頃姿見せないし
……聞いてんのか吉田ぁ?」
『月刊プレイボーイ』という露骨なアダルトブックを広げたまま瞳だけを堤ヨウに向けた。
「男の話とか誰が聞くかよ死んで美女になってから言い直せ。
それとなんだか久しぶりに見るな?誰だっけ?」
油を指したような軽い口ぶりで吉田が煽り、ヨウは眉を震わせた。
10月10日 19:00
「それらも奇妙なことだが、お前の後輩ちゃんも奇妙だそうじゃねぇか?」
吉田は初めて、意志を持って瞳をヨウに向けた
すっかり暗闇になったコンビニの前のことである。
「8月の冷夏事件でご両親と片目を失明しちまって関りはないが不憫だと思ったよ。
だがよ最近になってスーパースターになったようだぜ。」
「スーパースター?」
「そうさぁ。9月末にあった全国統一模試で900点満点をとったらしい!
おまけに所属しているバレー部でも才能が開花したようにエース級になったらしいぞ!!主将である
「それはまた。」
吉田は黙ってアメリカンブラックコーヒーを口に含む。
「その子よくお前のいる物理室にいただろ?だから変な教育したじゃねって疑ってるわけ。
後輩の木場タカアキから聞いたがお前のような妙なことを言うんだと。
『私のなかにもう一人の私がいる。だから身体を完璧に寸分狂わず操れる』ってさ。」
「ミョウだけに?」
「……ほ、他にもな失明した方の目が
「見間違いじゃないのか?」
食いつく様に吉田が口を開いた。
「可能性はあるよ。噂は実際にみないと分からないからな。だが、今まで話した知性に身体能力は本当だ。周りの運動部、同じクラスが証人だよ。」
そこでようやく、ヨウは冷め始めたエルチキを口に入れる。
「そうか……星 か。そりゃいい女になったな。いづれは私の足元でも照らしてもらおうかな。」
「んぐ。吉田ぁ、先輩だからって何様だそりゃ……」
ヨウはため息まじりまたチキンをほおばる。
そして乾いた吉田の笑い声が二つ、三つ。
「オレは特別なことはしていない。
同日 22:00 26区
「何よ。あんた。」
頬に湿布を張り付けた女子高生が一人防波堤に佇む。
「千流に言われ、現地協力者の君を探していた。
俺は二人目の救済の代行者『ルシフェル・ミラ・イース』
どうか力を貸してはくれないか?」
停学をくらって、呆然自失としていた学生のまえに、キラキラと同時にくすんだ金髪をかき上げる青少年が姿を現した。
だってさ吉田。俺たちがこうして物理室でバイオリン弾いてる中大変なことが起きてるんだってよ。
実感はわかねぇが、体育祭も中止になって今も先生たちが警察の取り調べ受けてるところによるとヤバいんかなぁ?
なぁ急にこんなになっておかしくないか?
今日は生徒会の集まりだってのに、集まったの会長のシンと俺と吉田の三人だけだっし。
なんだっけ?
三尾アヤカは原因不明の高熱。
ハチミツと雨宿スイは二人仲良く体調不良。
大浜ナオミはクラス数人に対して暴行、3週間の停学。
ラックもこの頃姿見せないし
……聞いてんのか吉田ぁ?」
『月刊プレイボーイ』という露骨なアダルトブックを広げたまま瞳だけを堤ヨウに向けた。
「男の話とか誰が聞くかよ死んで美女になってから言い直せ。
それとなんだか久しぶりに見るな?誰だっけ?」
油を指したような軽い口ぶりで吉田が煽り、ヨウは眉を震わせた。
10月10日 19:00
「それらも奇妙なことだが、お前の後輩ちゃんも奇妙だそうじゃねぇか?」
吉田は初めて、意志を持って瞳をヨウに向けた
すっかり暗闇になったコンビニの前のことである。
「8月の冷夏事件でご両親と片目を失明しちまって関りはないが不憫だと思ったよ。
だがよ最近になってスーパースターになったようだぜ。」
「スーパースター?」
「そうさぁ。9月末にあった全国統一模試で900点満点をとったらしい!
おまけに所属しているバレー部でも才能が開花したようにエース級になったらしいぞ!!主将である
三尾ア
ヤカは必要ない
っていわんばかりにな。」「それはまた。」
吉田は黙ってアメリカンブラックコーヒーを口に含む。
「その子よくお前のいる物理室にいただろ?だから変な教育したじゃねって疑ってるわけ。
後輩の木場タカアキから聞いたがお前のような妙なことを言うんだと。
『私のなかにもう一人の私がいる。だから身体を完璧に寸分狂わず操れる』ってさ。」
「ミョウだけに?」
「……ほ、他にもな失明した方の目が
赤かった
って情報もあるんだよ。眼帯の隙間からそんな色が見えたらしいけど。」「見間違いじゃないのか?」
食いつく様に吉田が口を開いた。
「可能性はあるよ。噂は実際にみないと分からないからな。だが、今まで話した知性に身体能力は本当だ。周りの運動部、同じクラスが証人だよ。」
そこでようやく、ヨウは冷め始めたエルチキを口に入れる。
「そうか……
「んぐ。吉田ぁ、先輩だからって何様だそりゃ……」
ヨウはため息まじりまたチキンをほおばる。
そして乾いた吉田の笑い声が二つ、三つ。
「オレは特別なことはしていない。
ただブレーキが壊れただけだ
。」同日 22:00 26区
「何よ。あんた。」
頬に湿布を張り付けた女子高生が一人防波堤に佇む。
「千流に言われ、現地協力者の君を探していた。
俺は二人目の救済の代行者『ルシフェル・ミラ・イース』
どうか力を貸してはくれないか?」
停学をくらって、呆然自失としていた学生のまえに、キラキラと同時にくすんだ金髪をかき上げる青少年が姿を現した。