其の六十三 24区校文化祭 始まりーー!

文字数 677文字

「はい、長府先生。名簿直しておきましたよ。」
パタンと教員机にファイルが置かれた。
「おお!助かりました宮城先生!!
ありがとうございます。うちの学校は備品がボロボロで。」
宮城キョウコはチラと自分の机を流し見て、
「いえいえ、これくらい大丈夫ですよ。」
「――では、行きますか。
今日は文化祭ですから、生徒たちがうるさくなりますよ。」





ダン!っと机を壊す勢いで女子生徒が身を乗り出した。
「はははぁぁぁ!!??ソウマの野郎が遅れてるってどういうことですか!?」
「さっき説明したでしょ。ミナコさん。」
赤子を見るようキョウコはそっとなだめた。
ミナコはガリガリと、光沢のある髪をかき乱す。
「男なんてバカばっかり。周りをおいて直感だけで行動しやがって。」
教師は眉間にシワをよせる。
「じゃあ先生――あたしは出店の準備がありますので、先に行きます。」
大きく深呼吸をした彼女は、イラついた歩きで去っていった。


「でも――」
近くで話を聞いていたナナが若干の不安顔でキョウコに尋ねる。
「後から来るんですよね…。その、他の二人も…。」
「――ええ、『絶対連れて行くから!!』って泉くん言ってたもの。
心配しないでいいわよ。」
キョウコは、心配を和らげるように彼女の肩に手を乗せる。
「さぁ、着替えてらっしゃい。とびっきりに可愛くメイクして、
――男の子を待ちましょ?」
いじらしく教師は耳打ちをする。
「そ、そんなじゃ、ないですよ――!!」
火が出るような勢いで、ナナは走り去っていった。

「さて、わたしも探さないと。」
生徒たちが校庭や校舎内で、祭りを進める中、キョウコもまたパンプスを履いて外へと出て行った。
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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