其の九十四 ルシフェルとナオミ

文字数 1,313文字

『な、なにすんのよ、、ただノリで言ってただけじゃ、、――』

机と椅子が土砂崩れのように倒れた。

―――――――――――――――――――――――

『……少しは落ち着いた?
それは良かった。同じ生徒会の仲だもの。
ま、安心して。お前には情状酌量の余地がある。
特別措置者として計らってもらうよ』

物理室の窓ガラスにヒビが入った。

――――――――――――――――――――――

23:00 24区校 職員室 ある教師の机前

意識を現在に戻して、金髪の青年に声を掛ける。


「千流とメアリーはどうしたの?」

「千流は深界とお月さまの元に向かった。
メアリーは意識不明の重体。浅界で集中治療中だ。何せ目も耳も潰れて指切断全身猛毒の紫の肉塊になってたからな。」

相も変わらずこういった存在は理を超えたことが常識らしかった。

「イヤだイヤだ、なんで代行者になっちまったのかね。早く還りたい。」

ただ今目の前にいる青年『ルシフェル』にはどこか人間味のある雰囲気が漂っていた。

「あなたってその二人と比べて、やけにやる気がないわね。」
髪をクルクルと指で巻きながらルシフェルに放った。

彼はため息まじりにポケットから取り出していた小さなフィルムを取り出しながら、
「実際やりたくない。」
大浜ナオミの目を真っ直ぐ見ながら言った。



24:21 25区校 物理室


「同じ代行者っていっても個人差があるのね。メアリーはどっちかっていうと優等生な感じだったのに。」

椅子はあったが、なんとなくヒビの入った窓ガラスの近くに座った。
軽いキャミソールなので下着が見えないように腕を足にまわして。

ルシフェルは欠伸まじりに机にアダルト本とコーヒーを用意している。

「あなたってホントに代行者?
っていうか何をしようとしてるの?」

準備完了っといった感じにルシフェルはナオミに顔を向けた。

「少し付き合ってくれ。」

「付き合う?
いらないわよコーヒーなんて。苦いし。」
興が冷めたナオミは物理室のドアから出て行こうとする。

「私は暇つぶしに協力してあげただけ。あんたと仲良しごっこする気はないの」

少しイラついた声で彼女は再度出て行こうと―――


「大浜。期間限定のイチゴスペシャルスティック30本を用意している。」






ズズっと普段は吉田が使っているコップをルシフェルが使い
普段は早妃カズミが使っているコップをナオミが使ってコーヒーを飲んでいた。

「別に、、あんたのお菓子につられてはいないから勘違いしないで。」
両手に二本ずつ菓子を持ちながら彼女は椅子に座っていた。

「勘違いはしない。甘党対策に買ってきて正解だった。」
対する彼は会った当初から変わらない感情で言葉を綴る。

「明日もすることは無いだろう?
なにぶん俺もやる気がなくてな現代っ子と話して

を維持しようとな。」

「動機ね。」
またもイラつき出した彼女

「あたしのことに詳しいのね。公平じゃないからあんたのこと聞かせてよ。聞いてあげるから。」

「あぁ自分のことをとっても話したかったところだ。助かる。
まず俺は日本人じゃないし最近死んだ人間でもない。
黒死病で死んだから、今風で言う中世ヨーロッパ出身といったところだ―――」

こうして『やる気のない代行者』と『やることの無い女学生』の話が進みだした。
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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