其の百十七 奪われし青春

文字数 1,244文字

『指定された住所に着きましたよ。

とりあえず辺りを見てきましたが……ここから生き残るなんて想像はつきません。
ええ――ええはい、

してますから。先輩の言ってる人ってここから潰されても奇跡的に助かったんですよね?それ何かの間違いじゃないですか?

――天井が丸ごと落下してるんですよ。

フん……ん……!!駄目です、数百キロはありますね、、これに潰されて火であぶられちゃあ死ぬ意外ありませんよ。

近所に人にも聞いてみましたが、親族全員亡くなってもいるみたいです。まぁ祖父にあたる人はいるみたいですが、認知症で家族が死んだことも知らないみたいです。

礼なんていいですよ。この泉ソウマにできることは手伝いますから、レン先輩にもよろしく言っておいてください!!!』

-―――――――――――-―――――――――――

『え、この患者についてですか?

いえ、不審なところは見当たらなかったのですが……ウ…すみません……。

ええその患者さんなら、去年の8月に救急搬送されてきました……、ただ……恐ろしかったんです……。
私だって医者です!!様々な人を見てきましたが、全身の皮膚がどろどろのゼリー状に黒くとけていたんですよ……腕や足は骨どころか、神経すら潰れてて、顔面に至っては片目は潰れて、もう片方は飛び出してt……!!体液や膿がそこら中から垂れて、触るだけで手のひらが赤く黄色く染まって、それに瞼も鼻も耳も焼けただれて、あれが、あんなものが……人だったんて、ひとだったなんて……!!

――あれは生命としての定義を臨界した患者でした……

手術は成功したそうです。舌噛み切って自殺したみたいすけど。刑事さん、うぷ、もう…いいですか……。』


-―――――――――――-―――――――――――

街を切り裂くような排気音が、足元で唸る中、二つのバイクが猛スピードで進んだ。

目的を見失って、自暴自棄になったように、迷いなく真っすぐに進んだ。

枯れ葉の下に埋もれた、いつかの弱虫の声が響く。

どれだけ耳をふさいでも、鼓膜をやぶれる痛みが響いていた。

ハンドルを持っている手が震えに舌打ちをした。己の意気地の無さに気づいた故に。

「……………。」

しかして高校生という若さの彼らでさえ、この出来事に目をそらすことはできなかった。

(どうか、カズミを、お願い。)

縛られたように、呪いのように。

-―――――――――――-―――――――――――

夢ほど度し難いものは無い。

入学して、友達をたくさん作って、

趣味や部活の話をしたり、

やさしい先輩や頼れる後輩、コーチがいて、

もしかしたら、恋人も作れたり!?

それが出来た人は、いったいどれくらいいることだろう。

憧れを持った彼ら彼女らは、夢の終わりを見せられて、現実に生きる。

だけど!!

夢を以て生きることは

敵わないが、他人の夢を壊すことは、いつでも誰でもできる。

「将来の夢がサラリーマンとか、専業主婦とか、答える子供はいないしね?

やっ☆君と会うのは二か月と一週間ぶりだね☆

さぁ吉田ミョウことヨッシー君だよ!!全員集合!!!」

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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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