其の百八 女はおちる
文字数 1,524文字
血を吐きながらも小鹿のようにキョウコは立ち上がった。
(こいつ…ッ……体じゅうに気を薄くまとっているのか……
どおりで凍らないしダメージが入らないわけだわ
さしづめバリヤーってわけね。)
「超鳥との戦いで体力を消耗し、俺のパンチを喰らってなお立ち上がるとは…タフな女だ。」
血まみれの手を気にせず歩みよるはルシフェル。
「もともとあのバカ共 には期待してなくてね。
どれだけ地球が危険だと思っても敵は人間体だと侮って本気は出さないのさ。
だからお前のような女に凍らされるというアホ丸出しの結果になった。」
クイっと顎で後方の中央公園のほうを指す
「まぁゴキブリを殺すために重火器を持ってくる人間もいないから強くは言わんがね。
さてと貴様のボスは誰だ?
その氷の力は【特別措置者№1オルドビス】という5億年前にやっつけたモノでね。
だから普通の人間は手にしないし、できても身体が保てず破裂する。
だが、体は崩壊するばかりか最早コントール化においている。」
女の目先に男が佇んだ。
そして血と氷で赤白のグラデーションカラーの女の体全体を見渡したあと、
顔へ、
そして朱い目のその瞳孔を覗き込んだ。
「
瞬間
ボコりと廃車の山が盛り上がり、赤目の老婆と頭から血を流した老人が起き上がった。
「確かに……あなたの言うことは当たってるわ、、。だからこそあたしには
そしてここで死ぬわけにも行かない。」
老夫婦をよく見ると、老婆が胸の前で老人の頭を鷲掴みにしているのが分かる。
「お~~い……助けておくれーー……!!
ばあさんが、ばあさんがおかしくなってしもうたんじゃーーー……!!
頼む……っばあさんだけは助けてくれーー……!!」
老人のか細い声が静かに響き渡る。
「私を逃がせばご老人は助けてあげる。ごほッごほ……ッっ、、」
吐血しながらも引きづる様に、その夫婦のもとにキョウコは歩いていく。
「ここまで派手に暴れておいて、最終的には人質で逃げるのか?
それでも高校の教師かよ。」
男が糾弾する。
が、お構いなしにキョウコは歩いていく。
「教師なんて誰でもなれるわよ………っ
演じれれば、こんな私でも良い先生として慕われるのだから……ウフフフフ……」
腹からこぼれ出ている腸を押さえながら、一歩一歩確実に老夫婦に近づいていく。
――24区は坂の上にあるため、他の区との境界は崖を基準としている。老夫婦の奥には街灯が一つも無い崖下になっているのだ。
(力に慣れるためのウォーミングアップで終わるはずだったのに、神官に加えて代行者まで来るなんて。しばらくは休息をとらないとね。)
ちらっとルシフェルを見る。辺りのガレキから取り出したのか尖った鉄棒を持ったままじっとキョウコを見つめていた。
「このまま引き下がるのは癪だけど。次に会ったら殺してあげるわ。」
「おいっ!!女!!ばあさまを助けろ!!わしは見たぞお前さんと男子学生が可笑しなことをしたのを!!」
「死にたくなかったら黙ることね…っっ!!」
そうして崖下に流れる川、まばらに生えている木々と鉄棒を目に入れながらどこに飛び降りるか考えるところだった。
え――
貴様は大変だな。俺は演じきれなくてそんなものは捨てたよ。あいにく役にハマるのは無理でね。
俺は俺のやり方で救っていくさ。
――有無を言わさぬように、老人の心臓と老婆の心臓を貫いて、キョウコの心臓にもまた鉄棒が突き刺さっていた。
「あ、、なた、、それでも、、救済の、、、??」
グらりっとバランスを崩して、宮城キョウコは崖下へと落ちて行った。
「重いほうに天秤は傾くだろ?俺は浮いた方を捨てるのさ」
あたりには死体とガレキが埋め尽くす廃墟へと姿を変えていた。
――さて、黒猫のほうは上手くやれたといいがな。大窄カイ。
(こいつ…ッ……体じゅうに気を薄くまとっているのか……
どおりで凍らないしダメージが入らないわけだわ
さしづめバリヤーってわけね。)
「超鳥との戦いで体力を消耗し、俺のパンチを喰らってなお立ち上がるとは…タフな女だ。」
血まみれの手を気にせず歩みよるはルシフェル。
「もともとあの
どれだけ地球が危険だと思っても敵は人間体だと侮って本気は出さないのさ。
だからお前のような女に凍らされるというアホ丸出しの結果になった。」
クイっと顎で後方の中央公園のほうを指す
「まぁゴキブリを殺すために重火器を持ってくる人間もいないから強くは言わんがね。
さてと貴様のボスは誰だ?
その氷の力は【特別措置者№1オルドビス】という5億年前にやっつけたモノでね。
だから普通の人間は手にしないし、できても身体が保てず破裂する。
だが、体は崩壊するばかりか最早コントール化においている。」
女の目先に男が佇んだ。
そして血と氷で赤白のグラデーションカラーの女の体全体を見渡したあと、
顔へ、
そして朱い目のその瞳孔を覗き込んだ。
「
お前ら
――何者だ??」瞬間
ボコりと廃車の山が盛り上がり、赤目の老婆と頭から血を流した老人が起き上がった。
「確かに……あなたの言うことは当たってるわ、、。だからこそあたしには
時間が無いのよ
。そしてここで死ぬわけにも行かない。」
老夫婦をよく見ると、老婆が胸の前で老人の頭を鷲掴みにしているのが分かる。
「お~~い……助けておくれーー……!!
ばあさんが、ばあさんがおかしくなってしもうたんじゃーーー……!!
頼む……っばあさんだけは助けてくれーー……!!」
老人のか細い声が静かに響き渡る。
「私を逃がせばご老人は助けてあげる。ごほッごほ……ッっ、、」
吐血しながらも引きづる様に、その夫婦のもとにキョウコは歩いていく。
「ここまで派手に暴れておいて、最終的には人質で逃げるのか?
それでも高校の教師かよ。」
男が糾弾する。
が、お構いなしにキョウコは歩いていく。
「教師なんて誰でもなれるわよ………っ
演じれれば、こんな私でも良い先生として慕われるのだから……ウフフフフ……」
腹からこぼれ出ている腸を押さえながら、一歩一歩確実に老夫婦に近づいていく。
――24区は坂の上にあるため、他の区との境界は崖を基準としている。老夫婦の奥には街灯が一つも無い崖下になっているのだ。
(力に慣れるためのウォーミングアップで終わるはずだったのに、神官に加えて代行者まで来るなんて。しばらくは休息をとらないとね。)
ちらっとルシフェルを見る。辺りのガレキから取り出したのか尖った鉄棒を持ったままじっとキョウコを見つめていた。
「このまま引き下がるのは癪だけど。次に会ったら殺してあげるわ。」
「おいっ!!女!!ばあさまを助けろ!!わしは見たぞお前さんと男子学生が可笑しなことをしたのを!!」
「死にたくなかったら黙ることね…っっ!!」
そうして崖下に流れる川、まばらに生えている木々と鉄棒を目に入れながらどこに飛び降りるか考えるところだった。
え――
貴様は大変だな。俺は演じきれなくてそんなものは捨てたよ。あいにく役にハマるのは無理でね。
俺は俺のやり方で救っていくさ。
――有無を言わさぬように、老人の心臓と老婆の心臓を貫いて、キョウコの心臓にもまた鉄棒が突き刺さっていた。
「あ、、なた、、それでも、、救済の、、、??」
グらりっとバランスを崩して、宮城キョウコは崖下へと落ちて行った。
「重いほうに天秤は傾くだろ?俺は浮いた方を捨てるのさ」
あたりには死体とガレキが埋め尽くす廃墟へと姿を変えていた。
――さて、黒猫のほうは上手くやれたといいがな。大窄カイ。