其の二十七 決戦‼ 吉田ミョウVS大窄カイ

文字数 976文字

 大津公園――そこはちょっとしたコートと公園が広がっている、ごく普通の広場である。
 そのちょっとした先の方に、防波堤、その先に磯が存在している。
 その防波堤に立つ男が一人。
 それが見下すは、バサバサとマントをなびかせる男であった。


 「それで、ここを墓場に選んだってわけか?」
 風が吹き荒れ、波が荒立つなか、ニヒルな口調でカイは吉田に向かって言い放つ。
 「何故、俺が力を行使するのか。――お前たちにとってゲームは楽しいモノだろう?自分の代わり身を作り、いろんな所を見て回り、敵を倒し、レベルを上げ、強くなる……。そういうのは好きだぜ。ただ気にいらない所があるとするならよぉ…、『自分』が強くなってるわけじゃねぇところさ。」
 そのことに、吉田は挑発を含んだ返しをする。
 「それで――暴君みたいにあっちこっちで暴れ回ってたってわけか?そうやってきたから、何もかも退屈になって遠足にまで来るようになったんじゃないのか?それだったらまるで、ガキにそのものじゃねぇか。オレとは違ってな。」
 フ、っとカイは口角をあげて戦闘態勢をとる。
 「口だけじゃなく、思う存分に楽しませてくれよ――‼」
 「‼――」
 受けて立つように、吉田もまた戦闘態勢をとった。

 陽気な声を上げている鳥は飛び去った。

 自然を撫でるそよ風はピタリと止まった。

 岩は荒波を粉砕し、今にも雨を降らせようとしていた。
 「ぬんッ!」
 カイは吉田へと突っ込み、巨木のような腕を打ち込んだ。
 「ガッ―!!」
 それを両腕で防ぐ吉田。
 「フンッッ!!!」
 その防御に何の反応もせず、カイは3発、4発、5発、6発、と叩き込んだ。
 最後の一発といった感じに、一瞬のタメが入ったとき、
 「ダァッッ――!!!」
 吉田の反撃が、カイの腹にクレーターを作り上げ、そのまま吹き飛ばした。
 バシャバシャと、二人して海水の雨を被る。
 「痛った……。」
 吉田はブルブルと右手首を揺らす。
 「――ウォーミングアップとしては、これくらいがいいだろう。」
 4m離れたところで、カイはニヤリと余裕の笑みを浮かべている。
 「お前の全力はこの程度ではないはずだが?それとも、俺の勘違いだったか?」
 「馬鹿力なヤツめ――。生憎、この程度で音を上げるほど、オレは弱くない。」
 すると、パチンと学ランのホックを外すと、吉田は学ランマントを投げ捨てた。
 
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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