其の百二十八 神殺しの王/神嫌いの高校生
文字数 2,471文字
前書き
明けましておめでとうございます。
正月早々の災害にはクソったれとは思いますが、2024年もまたいっしょに頑張っていきましょう。
(5話で完結予定だったのに、いつになったら終わるのか、私自身、分かりません。
皆様どうか最後までお付き合いくださいッッ!!)
あとこの作品の地名や設定は全て創作です。フィクションです。
-―――――――――――-――――――――――――――
「おぉいッッ―――!!
応援はまだ来んのか!!これじゃ消火できる勢力じゃねぇぞぉぉおおお!!!!」
25区校の上空を旋回しているヘリコプターから、野太く大きい声が轟いた。
辺りは、高校の火事のせいか大規模停電を起こしており、25区校からの火が真っ白に照らすのみだった。
消防隊はすでに放水しているが、ガス管から水道管まで爆破されてしまったのか、
ゴジラに水鉄砲を打ってるような、そんなチャチな光景だけがあった。
「――、……了解!
熊本本部長!!応援は駄目です!!
あの高校の立地上、消防車は4台が限界!!
さらに、水道管も破裂している模様!!放水も不十分です!!
鹿島刑事率いる警察部隊が、『洗脳人間』および『洗脳野生生物』と応戦中!!
現在は市民を誘導するため、鹿島刑事単独で戦闘している状態!!
戦力として絶対的に不十分状態にある状況です!!こちらに応援を回す余力もないかと……。」
ヘリのパイロットが苦虫を噛み潰すような、クシャクシャな顔で説明している。
「グ…、グぅ………!!
ここで見る事しかできんのか~~~~ッッッ!!!!
俺たちの町を……!!
許さん…!絶対に許さんぞおおおぉぉぉぉおおおおお!!!!!!!!!!」
再び、熊本の声が、光も無い空に木霊した。
-―――――――――――-――――――――――――――――――――
「我々の国をよくも……と嘆いておりましたな。」
福栄シンゾウと同じの肉体の『それ』はぽっとつぶやく。
体はぴちぴちの青年で、見たものすべてにイケメンとか、好印象を抱かせるような健康体な人間だった。『眼』さえ除けば。
「――なにを言っている?」
「――吉田、覚えているか?
4月に、あの奥の柱にラリアットされたことを。
たしか、大浜ナオミの余計なことをして、『ふうぉぉお!?』なんて、阿保らしい声で押し付けられたことを。
あれは……クフフ、笑えたよな。あれはすべて舞台の前劇だったんだろ?」
砕けたガラスの奥にある、黒い町をみながら吉田は答える。
「当たり前だ。あれは私が脚本した舞台だった。
貴様たちといっしょに生徒会として活動したもの、早妃カズミのカウンセリングをしたのも、私 がいい生徒になるための素材だった。
安心しろよ。私 は出来が違うんだ。人を殺した程度で、罪悪感など感じない――」
犬とネズミの生首が並んでいた。痛みを感じなかったのか、苦痛のない顔で舌が垂れ下がった状態で、吉田を見つめていた。
青黒いアメーバは100等分ほどに細かく、イカの活け造りのようにウネウネとそこら中に散らばっていた。
シンは、青く染まった手で、血だらけのハチミツを心臓を押し当てた。
「――がほっっ!!ああががはぁ……!!」
激しい咳き込みと共に、ハチミツの心肺が再び動き出す。
そして、吉田の眼を見ながら、怪我をしないよう学ランを巻き付けていきながら
「――ムー大陸の滅亡もまた、前劇と仰るつもりですか?我が王よ。」
その言葉は、これまでで1番吉田の瞳が大きく、これ以上無く広がった。
「ムー大陸だと……!!
貴様は、、いや、お前は、我が同胞なのか……!?」
「王よ、なぜ、こんな虐殺をしているのですか……!!」
シンは、痛みに喘ぎ苦しむハチミツを抱きかかえて、アメーバを踏みつぶしながら、吉田を通り過ぎて、中央正面の大きなガラスに並び立つ。
「『福栄シンゾウ 』の記憶を読んだところ、
今は西暦2021年の11月、我らの時代はとうの昔――1万2000年前に滅亡しました。
我らが同胞は、皆死に絶えましたが、それでも……『義』あり『勇』ありの覇王であったあなたに付き従って『命』を捧げた――!!」
シンの声帯から、別の誰かが宿ったような、熱の籠ったやるせない声が発せられた。
「だが――なんだこれは!!!
我らが覇王は民を『信用』し、『武』を以て兵を率い、『知』を展開して『秩序』を作り上げた!!!
こんな……、こんな人質を取った、姑息な手段はとる人ではなかった……!!!
こんなことに、手を貸す人ではなかった……!!」
「覇王か……。ククク、まさか『そっちの側面』が強く出てしまうのは驚いた。
――我が同胞よ。故になのだ。
――滅亡した故になのだ。一つ聞くが、あの大陸が滅んだ原因をお前は知っているか?」
2人は向かい合って、正面切って話をしている。
いや正確には、『朱い眼』を見ながら、
高校生では無く、まったく違う、どこかの、誰かが話をしているように見える。
「『神』だ。
あの大陸は――我が国は『神』によって滅ぼされたのだ……!!!
私 のせいなのだ……!!!私のせいで……!!!
私が『神』というものを創ってしまったがために――――!!!!!
だから、この世界にもう一度国を作り上げるのだ!!!
次は神の存在しない、幸福な国を――!!!」
吉田の声をした何者かが、喉の奥からの嗚咽を圧縮するような、噛み潰した声が響く。
大火事による熱か、それとも嗚咽か、中央の大ガラスが、音立ててを割れた。
「あれは――我々民の失敗です……。
あなたのせいでは無い!!
民 が失敗したがために、滅んだのです!!!」
「民の失敗もまた王の失敗!!!
王だけでなく、民を幸福にしてこその覇王と呼べるのだっっ!!!」
「………ここは『現代』。
もう我々の時代じゃない。それを侵略するのであれば、我が王といえどッッ!」
シンは割れたガラスから、空高くはハチミツを放り投げると戦闘態勢を取った。
「………ん?んもう!
『想い』が強いってのは忘れられないものだが、同時に『消えない』呪いになる。
世知辛いもんだな!!!シンッッ!!!」
吉田ミョウ――大量失血の複雑骨折状態で、
雨宿スイ、久木山レンに続き3回目の戦闘開始である。
明けましておめでとうございます。
正月早々の災害にはクソったれとは思いますが、2024年もまたいっしょに頑張っていきましょう。
(5話で完結予定だったのに、いつになったら終わるのか、私自身、分かりません。
皆様どうか最後までお付き合いくださいッッ!!)
あとこの作品の地名や設定は全て創作です。フィクションです。
-―――――――――――-――――――――――――――
「おぉいッッ―――!!
応援はまだ来んのか!!これじゃ消火できる勢力じゃねぇぞぉぉおおお!!!!」
25区校の上空を旋回しているヘリコプターから、野太く大きい声が轟いた。
辺りは、高校の火事のせいか大規模停電を起こしており、25区校からの火が真っ白に照らすのみだった。
消防隊はすでに放水しているが、ガス管から水道管まで爆破されてしまったのか、
ゴジラに水鉄砲を打ってるような、そんなチャチな光景だけがあった。
「――、……了解!
熊本本部長!!応援は駄目です!!
あの高校の立地上、消防車は4台が限界!!
さらに、水道管も破裂している模様!!放水も不十分です!!
鹿島刑事率いる警察部隊が、『洗脳人間』および『洗脳野生生物』と応戦中!!
現在は市民を誘導するため、鹿島刑事単独で戦闘している状態!!
戦力として絶対的に不十分状態にある状況です!!こちらに応援を回す余力もないかと……。」
ヘリのパイロットが苦虫を噛み潰すような、クシャクシャな顔で説明している。
「グ…、グぅ………!!
ここで見る事しかできんのか~~~~ッッッ!!!!
俺たちの町を……!!
許さん…!絶対に許さんぞおおおぉぉぉぉおおおおお!!!!!!!!!!」
再び、熊本の声が、光も無い空に木霊した。
-―――――――――――-――――――――――――――――――――
「我々の国をよくも……と嘆いておりましたな。」
福栄シンゾウと同じの肉体の『それ』はぽっとつぶやく。
体はぴちぴちの青年で、見たものすべてにイケメンとか、好印象を抱かせるような健康体な人間だった。『眼』さえ除けば。
「――なにを言っている?」
「――吉田、覚えているか?
4月に、あの奥の柱にラリアットされたことを。
たしか、大浜ナオミの余計なことをして、『ふうぉぉお!?』なんて、阿保らしい声で押し付けられたことを。
あれは……クフフ、笑えたよな。あれはすべて舞台の前劇だったんだろ?」
砕けたガラスの奥にある、黒い町をみながら吉田は答える。
「当たり前だ。あれは私が脚本した舞台だった。
貴様たちといっしょに生徒会として活動したもの、早妃カズミのカウンセリングをしたのも、
安心しろよ。
犬とネズミの生首が並んでいた。痛みを感じなかったのか、苦痛のない顔で舌が垂れ下がった状態で、吉田を見つめていた。
青黒いアメーバは100等分ほどに細かく、イカの活け造りのようにウネウネとそこら中に散らばっていた。
シンは、青く染まった手で、血だらけのハチミツを心臓を押し当てた。
「――がほっっ!!ああががはぁ……!!」
激しい咳き込みと共に、ハチミツの心肺が再び動き出す。
そして、吉田の眼を見ながら、怪我をしないよう学ランを巻き付けていきながら
「――ムー大陸の滅亡もまた、前劇と仰るつもりですか?我が王よ。」
その言葉は、これまでで1番吉田の瞳が大きく、これ以上無く広がった。
「ムー大陸だと……!!
貴様は、、いや、お前は、我が同胞なのか……!?」
「王よ、なぜ、こんな虐殺をしているのですか……!!」
シンは、痛みに喘ぎ苦しむハチミツを抱きかかえて、アメーバを踏みつぶしながら、吉田を通り過ぎて、中央正面の大きなガラスに並び立つ。
「『
今は西暦2021年の11月、我らの時代はとうの昔――1万2000年前に滅亡しました。
我らが同胞は、皆死に絶えましたが、それでも……『義』あり『勇』ありの覇王であったあなたに付き従って『命』を捧げた――!!」
シンの声帯から、別の誰かが宿ったような、熱の籠ったやるせない声が発せられた。
「だが――なんだこれは!!!
我らが覇王は民を『信用』し、『武』を以て兵を率い、『知』を展開して『秩序』を作り上げた!!!
こんな……、こんな人質を取った、姑息な手段はとる人ではなかった……!!!
こんなことに、手を貸す人ではなかった……!!」
「覇王か……。ククク、まさか『そっちの側面』が強く出てしまうのは驚いた。
――我が同胞よ。故になのだ。
――滅亡した故になのだ。一つ聞くが、あの大陸が滅んだ原因をお前は知っているか?」
2人は向かい合って、正面切って話をしている。
いや正確には、『朱い眼』を見ながら、
高校生では無く、まったく違う、どこかの、誰かが話をしているように見える。
「『神』だ。
あの大陸は――我が国は『神』によって滅ぼされたのだ……!!!
私が『神』というものを創ってしまったがために――――!!!!!
だから、この世界にもう一度国を作り上げるのだ!!!
次は神の存在しない、幸福な国を――!!!」
吉田の声をした何者かが、喉の奥からの嗚咽を圧縮するような、噛み潰した声が響く。
大火事による熱か、それとも嗚咽か、中央の大ガラスが、音立ててを割れた。
「あれは――我々民の失敗です……。
あなたのせいでは無い!!
「民の失敗もまた王の失敗!!!
王だけでなく、民を幸福にしてこその覇王と呼べるのだっっ!!!」
「………ここは『現代』。
もう我々の時代じゃない。それを侵略するのであれば、我が王といえどッッ!」
シンは割れたガラスから、空高くはハチミツを放り投げると戦闘態勢を取った。
「………ん?んもう!
『想い』が強いってのは忘れられないものだが、同時に『消えない』呪いになる。
世知辛いもんだな!!!シンッッ!!!」
吉田ミョウ――大量失血の複雑骨折状態で、
雨宿スイ、久木山レンに続き3回目の戦闘開始である。