其の八十三 メアリー必死の抗戦!!
文字数 1,572文字
湿り気を帯びた草木が静かに発火していく。
うだるような熱と咳き込むほどの湿気で体が蒸れていく。
額から流れ出た血液が、視界を一瞬赤く染めた。
「………。」
「クハハハハハハッッ!!
言っておくが今のは本気じゃないぞ。準備運動といったところだ。」
早妃ショウゾウは傲慢に顎を上げて臨戦態勢を取った。
「
「貴様に言われる筋合いはない――!」
滴り落ちる血を拭ってメアリーもまた身構えた。
辺りが燃え広がるさなか、二人はぶつかった。
「なぜだ!?『サンジョウ』はその昔に、先代の神官たちが打ち倒した
その場にいる者で唯一犬神だけが、事情を理解しているが故に現状を把握できずにいた。
一億年前――かつて存在していた『超大陸パンゲア』を分裂させる程の災害をもたらしたサンジョウ。当時の神官たちが打ち倒したということを、犬神は文献を読んで知っていたのだ。
そして、男の戦いを見ていても
「う……うぅ……」
「桜よ早く目を覚ませ。メアリー一人では手に負えない事態かもしれん……!」
犬神は慎重に、しかしスピードを上げて桜刑事の治療を行った。
「ヤアアあぁぁぁぁ!!!」
「ぬうううぅぅぅんんん!!!」
ショウゾウとメアリーは腕を交差させて、相手を圧し潰す勢いで取っ組み合っていた。
力の差はほとんど無いのか、負けずとも劣らずに一進一退を繰り返いして、互いに頭突きを打ち合っていた。
「アアああッッ!!」
「ウううううんん!!」
少女の額からはさらに噴水のように血が噴き出て、両手の皮膚が、爪が熱によってぺりぺりとめくれあがっていった。
男の方も同じように額に傷ができ、両手の骨にピシピシと音を立ててひびが入っていっていた。
その状況をジリ貧と考えたのか、メアリーはパッと手を放して――
「グうぅ!?」
ショウゾウにラリアットを決めて、地面へと叩きつけた。
一瞬にして、地面から火柱が立ち上る。
「―――ダりゃあッッ!!」
渾身の力を込めた右ストレートが、男の顔面へと炸裂した。
周りの炎が爆ぜながら――大地が陥没し、道の端にそびえ立つ木々が土砂とともにどす黒く沸騰した川へと落ちて行った。
砂埃が舞う中、男の腕が少女の胸倉を掴む。
「お返ししてやる。」
そういうと、そのまま乱雑に少女を持ち上げて――地面にぶち当てた。
轟音と共に爆発し、二つ目の直系10mのクレーターが出来上がる。
大気は膨れ上がったのか、草木、木々の合間をぬって爆風が吹きあがった。
「フー……フーー……」
痛みを抑えるように深呼吸を繰り返しながら、メアリーは溶けかかった制服の一部を破いた。
「冗談じゃないわ。とんだ化け物じゃない。」
すすによって黒ずんだ肌と下着が露出する。
「いったた、とんだバカ力じゃねぇの。にしても――」
折れた鼻を右手で、亀裂の入った頭蓋骨を左手で確認しながら、感心したようにショウゾウは鼻息を鳴らした。
「俺の熱に耐えているとはな。代行者の名は伊達じゃねぇか。普通の人間なら全身黒焦げになるんだが……。だが――どうだ?自分の内臓が焼かれていく音は?」
勝ち誇ったように、ショウゾウは喉を鳴らす。
「さぁ続きだ。メアリー。」
「来い……!」
一息ついた二人はまた構えを取ろうしたとき――
「お待ちになってください。」
一人の女の声がその場に待ったを掛けた。
「ああん?なんだフミコ?」
ショウゾウが不満げに返答する。
「ただ黙ってみてるのも退屈なんですもの。私も混ぜて下さらない?」
フミコはそう弁を述べて、メアリーへと体を向けた。
「『特別措置者 』は全員殺す。」
『二対一でも構わない』という意志を含んで、メアリーは再度身構えた。
女は屈託のない笑みを浮かべた。
「フフフ、嬉しいわ。それじゃあ……
力を貸してくださいな――『
うだるような熱と咳き込むほどの湿気で体が蒸れていく。
額から流れ出た血液が、視界を一瞬赤く染めた。
「………。」
「クハハハハハハッッ!!
言っておくが今のは本気じゃないぞ。準備運動といったところだ。」
早妃ショウゾウは傲慢に顎を上げて臨戦態勢を取った。
「
全てを救って見せろよ
?『救済の代行者』」「貴様に言われる筋合いはない――!」
滴り落ちる血を拭ってメアリーもまた身構えた。
辺りが燃え広がるさなか、二人はぶつかった。
「なぜだ!?『サンジョウ』はその昔に、先代の神官たちが打ち倒した
4体目の『特別措置者』
だぞ!?存在しているはずがないッ!!」その場にいる者で唯一犬神だけが、事情を理解しているが故に現状を把握できずにいた。
一億年前――かつて存在していた『超大陸パンゲア』を分裂させる程の災害をもたらしたサンジョウ。当時の神官たちが打ち倒したということを、犬神は文献を読んで知っていたのだ。
そして、男の戦いを見ていても
その特徴
に合致するものが見受けられる。「う……うぅ……」
「桜よ早く目を覚ませ。メアリー一人では手に負えない事態かもしれん……!」
犬神は慎重に、しかしスピードを上げて桜刑事の治療を行った。
「ヤアアあぁぁぁぁ!!!」
「ぬうううぅぅぅんんん!!!」
ショウゾウとメアリーは腕を交差させて、相手を圧し潰す勢いで取っ組み合っていた。
力の差はほとんど無いのか、負けずとも劣らずに一進一退を繰り返いして、互いに頭突きを打ち合っていた。
「アアああッッ!!」
「ウううううんん!!」
少女の額からはさらに噴水のように血が噴き出て、両手の皮膚が、爪が熱によってぺりぺりとめくれあがっていった。
男の方も同じように額に傷ができ、両手の骨にピシピシと音を立ててひびが入っていっていた。
その状況をジリ貧と考えたのか、メアリーはパッと手を放して――
「グうぅ!?」
ショウゾウにラリアットを決めて、地面へと叩きつけた。
一瞬にして、地面から火柱が立ち上る。
「―――ダりゃあッッ!!」
渾身の力を込めた右ストレートが、男の顔面へと炸裂した。
周りの炎が爆ぜながら――大地が陥没し、道の端にそびえ立つ木々が土砂とともにどす黒く沸騰した川へと落ちて行った。
砂埃が舞う中、男の腕が少女の胸倉を掴む。
「お返ししてやる。」
そういうと、そのまま乱雑に少女を持ち上げて――地面にぶち当てた。
轟音と共に爆発し、二つ目の直系10mのクレーターが出来上がる。
大気は膨れ上がったのか、草木、木々の合間をぬって爆風が吹きあがった。
「フー……フーー……」
痛みを抑えるように深呼吸を繰り返しながら、メアリーは溶けかかった制服の一部を破いた。
「冗談じゃないわ。とんだ化け物じゃない。」
すすによって黒ずんだ肌と下着が露出する。
「いったた、とんだバカ力じゃねぇの。にしても――」
折れた鼻を右手で、亀裂の入った頭蓋骨を左手で確認しながら、感心したようにショウゾウは鼻息を鳴らした。
「俺の熱に耐えているとはな。代行者の名は伊達じゃねぇか。普通の人間なら全身黒焦げになるんだが……。だが――どうだ?自分の内臓が焼かれていく音は?」
勝ち誇ったように、ショウゾウは喉を鳴らす。
「さぁ続きだ。メアリー。」
「来い……!」
一息ついた二人はまた構えを取ろうしたとき――
「お待ちになってください。」
一人の女の声がその場に待ったを掛けた。
「ああん?なんだフミコ?」
ショウゾウが不満げに返答する。
「ただ黙ってみてるのも退屈なんですもの。私も混ぜて下さらない?」
フミコはそう弁を述べて、メアリーへと体を向けた。
「『
『二対一でも構わない』という意志を含んで、メアリーは再度身構えた。
女は屈託のない笑みを浮かべた。
「フフフ、嬉しいわ。それじゃあ……
力を貸してくださいな――『
ぺルム
』」