其の七十五 諫早ナナの疑念

文字数 1,003文字

そんなこんなで文化祭での時間は過ぎて行った。


吉田ミョウは『天下一腕づもう大会』を乗っ取り、司会者として暴れ回った。

早妃カズミは迷子の男の子を助けて、『帰るべき場所』を思い出した。

大浜ナオミは腕づもう大会優勝者として、無料券を貰い『川原ケンジの飲み物出店』に向かった。

鹿島は目を光らせて警備しながらも、文化祭の写真を撮っていた。

三島と宮城キョウコは

ガールズトークを楽しみ、犬神は違和感を覚えた。






「ま、まて!!待てって!!ミナ――ウガッッ………」

泉ソウマの体は空中に弧を描いて、落下した。

「終わったな―――。

………なわけあるかああぁぁぁ!!!」

包帯を巻かれてるソウマに、ミナコは一切の容赦なく襲い掛かった。

彼の体を揺さぶったり、ヘッドロックをキメタリ………。

「お前が病院送りになったせいで、あたしゃ一人でクラスの企画と費用を計算し続けたんだぞ!!」
「わ、わるかった!!俺が悪かったから――

た、頼む!!許してくれーー!!」

「ごめんで済んだら、

警察はいらねぇんだよ!!」

そういってミナコは屋台に残っていた『特製ミナコジュース』を容器ごと、ソウマの喉奥に流し込んだ。

「ノオおおおおおおおおおぉぉぉぉ―――」

悲しいことに。
病院から24区校まで、汗だくで走ってきたソウマへの仕打ちは、ミナコによってトドメをさされる結果になった。







「で、ソウマ、あの人は連れてきたのか?」
「?」
「雨宿スイっていう、ナナが惚れた男をよ。」
「スイさん?
あぁ……、連れてきたよ。今頃、2組教室で会ってんじゃねぇかな。」

「……そう、じゃあラーメン食って行けよ。」
「!」
「余った食材の廃棄処分はもったいでしょ。」





1年2組

「ねぇナナちゃんこの書類どこに置けば――」
「話かけないで。

悪いけど、私イライラしてるの。」

気弱そうな女子学生を追い払って、ナナは

の座る席にお冷を

置いた。

「……。

………。」

「注文が決まったら

――

を呼んでちょうだい。」

ナナは、彼に向き合うこともせずに控えに戻ろうとした。

「悪かったよ………。

約束通りの時間に来なくて。」

雨宿スイはとにかく謝罪を行った。

「俺から、時間を設定したというのに………。」

「……。

………。」

彼女は押し黙って、スイの震えた目を見た。




「………。」


「………。

…。」




沈黙


後にナナは口を開いた。



「私がイライラしてるのはそこじゃない。」


ナナはスイの目の前に立った



「なにを――

そんなに

?」

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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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