其の四十五 宮城キョウコ・泉ソウマ
文字数 1,625文字
「――よって、今日!!俺達は!!!カフェ店開くにあたって衣装決めの時間とするッッ!!!」
「イエーーーイ!!!!」
午後の授業最後の7コマ目。
疲れも溜まって、眠気も漂うこの時間、諫早ナナのような普通の生徒は意識を保つことすら困難な時間――なのだが残念ながら例外もいる。
実際、教壇の前にたっている二人には『その時間の魔力』は効いていない。
(有喜ミナコに泉ソウマ……もうやだ、この二人……)
ナナは一番前の席のため、この二人の圧をもろに喰らう結果となっていた。
鼓膜は震えて、頭痛もするのか頭を押さえている。
「どうしたナナ⁉気分でも悪いのか!?」
ミナコがずいと顔を近づける。しかも声のボリュームは変わっていないためより状況が悪化していく。
(あんたのせいでね……!)
「なんでもない。早く決めましょう。……ソウマ、女子はどういう衣装が良いの?」
ミナコを軽くあしらって、リーダーである泉ソウマに質問をした。
「カッコいいヤツを!!!」
迷いなく、小学生のようなキラキラした屈託のない笑顔を返された。
「――――」
教室の端っこで、ナナの気持ちを代弁するようにカランと氷の音が聞こえた。
ソウマ、女子にカッコよさを求めるのお前しかおらんぞ。
分かってないな。カッコよさの中に可愛いいがあるっさ。
わかったわかったって。俺たちはどの衣装にするよ?
それはだな――
男子グループでの会話を盗み聞きしながら、ナナは女子グループで会話する。
「――ソウマの言う事は無視しましょ。アイツは特殊だから。」
確かにと周囲の女子は一斉に頷く。
「カフェ店なんだろ?だったらセオリー通り、メイド一択だろ。」
大将のような落ち着きある声でミナコが発言した。
だが、メイド服となると高校1年生である彼女らにはハードルは高い。
「あぁん!?恥ずかしさなんて持ってたら女として生きていけんぞ。」
暴論である。
しかし、それ以外の衣装は考えつかないのもまた事実。
「あらぁ、結局メイド服なの?いいじゃない!」
「うわ、宮城先生いつのまに!?」
ミナコの後ろに、スレンダーな女性教師がそびえ立っていた。
しわの無い真っ白なカッターシャツに、膝まである光沢のある真っ黒なタイトスカートに真っ黒なタイツ。
それとは対照的に左手には真っ白なカップを持っており、そこから光を屈折させている半透明な氷を覗かせている。
「ちょっと先生!その呼び方はやめてといってるでしょ!」
「うふふ、ごめんなさいね。ミナコちゃんの体をみてるとゾクゾクしちゃってね。」
二人の様子をナナはくっきりと瞳に映す。
あー、先生ったらまたコーヒー飲んでるー
宮城先生ってコーヒーばっかり飲んでるよね。
「ったく、先生、たまには違うやつ飲めよ。」
そういってミナコは、カップに人差し指を入れてそれを口に入れた。
「うッ……」
あのうるさいミナコの静まりひしゃげた表情を見るに
「分かる人には分かる味なのよ。こほん、メイドはいいわよ。あわよくば
男って――そんな簡単に彼氏つくれるの?
「………」
ナナは真一文字に口を結んで黙って思考を反復させていた。
「え――?雨宿スイっていったのか?」
「しってんのか?ソウマ?」
学校が終わり、夕張が張り巡らされたこの時間、ナナ、ミナコ、ソウマは自販機付近でジュースを飲んでいた。
「ナナがなー、どうも気がありそうなんだよ。昼休みなんてな、その人のLINEみながら固まってたんだからよ。」
そういって、二人は乙女を覗き見る。
「………なぁ?」
自販機に寄っかかって、揺りかごのようにぎっちらぎっちらと乙女は体は揺らしていた。
「――雨宿さんのことは良く知ってるよ。」
ミナコはソウマ言葉に耳を傾ける。
「
「イエーーーイ!!!!」
午後の授業最後の7コマ目。
疲れも溜まって、眠気も漂うこの時間、諫早ナナのような普通の生徒は意識を保つことすら困難な時間――なのだが残念ながら例外もいる。
実際、教壇の前にたっている二人には『その時間の魔力』は効いていない。
(有喜ミナコに泉ソウマ……もうやだ、この二人……)
ナナは一番前の席のため、この二人の圧をもろに喰らう結果となっていた。
鼓膜は震えて、頭痛もするのか頭を押さえている。
「どうしたナナ⁉気分でも悪いのか!?」
ミナコがずいと顔を近づける。しかも声のボリュームは変わっていないためより状況が悪化していく。
(あんたのせいでね……!)
「なんでもない。早く決めましょう。……ソウマ、女子はどういう衣装が良いの?」
ミナコを軽くあしらって、リーダーである泉ソウマに質問をした。
「カッコいいヤツを!!!」
迷いなく、小学生のようなキラキラした屈託のない笑顔を返された。
「――――」
教室の端っこで、ナナの気持ちを代弁するようにカランと氷の音が聞こえた。
ソウマ、女子にカッコよさを求めるのお前しかおらんぞ。
分かってないな。カッコよさの中に可愛いいがあるっさ。
わかったわかったって。俺たちはどの衣装にするよ?
それはだな――
男子グループでの会話を盗み聞きしながら、ナナは女子グループで会話する。
「――ソウマの言う事は無視しましょ。アイツは特殊だから。」
確かにと周囲の女子は一斉に頷く。
「カフェ店なんだろ?だったらセオリー通り、メイド一択だろ。」
大将のような落ち着きある声でミナコが発言した。
だが、メイド服となると高校1年生である彼女らにはハードルは高い。
「あぁん!?恥ずかしさなんて持ってたら女として生きていけんぞ。」
暴論である。
しかし、それ以外の衣装は考えつかないのもまた事実。
「あらぁ、結局メイド服なの?いいじゃない!」
「うわ、宮城先生いつのまに!?」
ミナコの後ろに、スレンダーな女性教師がそびえ立っていた。
しわの無い真っ白なカッターシャツに、膝まである光沢のある真っ黒なタイトスカートに真っ黒なタイツ。
それとは対照的に左手には真っ白なカップを持っており、そこから光を屈折させている半透明な氷を覗かせている。
「ちょっと先生!その呼び方はやめてといってるでしょ!」
「うふふ、ごめんなさいね。ミナコちゃんの体をみてるとゾクゾクしちゃってね。」
二人の様子をナナはくっきりと瞳に映す。
あー、先生ったらまたコーヒー飲んでるー
宮城先生ってコーヒーばっかり飲んでるよね。
「ったく、先生、たまには違うやつ飲めよ。」
そういってミナコは、カップに人差し指を入れてそれを口に入れた。
「うッ……」
あのうるさいミナコの静まりひしゃげた表情を見るに
そうとうな味
なんだろう。「分かる人には分かる味なのよ。こほん、メイドはいいわよ。あわよくば
いい男がつかまること
もあるしね☆」男って――そんな簡単に彼氏つくれるの?
彼氏ぐらい
だった誰でも作れるわよ。「………」
ナナは真一文字に口を結んで黙って思考を反復させていた。
「え――?雨宿スイっていったのか?」
「しってんのか?ソウマ?」
学校が終わり、夕張が張り巡らされたこの時間、ナナ、ミナコ、ソウマは自販機付近でジュースを飲んでいた。
「ナナがなー、どうも気がありそうなんだよ。昼休みなんてな、その人のLINEみながら固まってたんだからよ。」
そういって、二人は乙女を覗き見る。
「………なぁ?」
自販機に寄っかかって、揺りかごのようにぎっちらぎっちらと乙女は体は揺らしていた。
「――雨宿さんのことは良く知ってるよ。」
ミナコはソウマ言葉に耳を傾ける。
「
俺の所属してた23区隊は、雨宿さん率いる22区隊とよくやり合ってたからな。
」