其の八十七 刑事の決意

文字数 1,037文字

ガリっとぼとりと、大ムカデの首が落下した。

「見せてもらおうか!!天下をとる大神様の力をよ!!」
辺りが一瞬にして炎の渦に包まれた。
「手を貸せ!フミコ!!」

「正直もうごめんなんだけど」
炎を沿わせるように蟲たちが、悲鳴をあげて隊列をなしていく

…………

………………


圧風を吹きあらし

上空から勢い良く大神の暴腕が振り落とされた

それを合図に二人は別々の方向に飛び上がった

「一発ガツンと喰らえええぇぇええ!!!」
赤く染まった拳を大神の頭上にぶつける

その直後大神の腹や尾に、隊列を成した蟲たちが燃え上がりながら突き刺さっていく。

『フんッ……!!』

が、突き刺さったのを物ともしないまま剛爪を振りかざした。

『たかだか、蟲ごとき毒ごときで――俺が殺せると思うかぁぁああ!!!!』
「チぃ!!」
「!?」

尾を牙を爪を大きく振り回し、辺り一帯を吹き飛ばした。

牛神様の石像が、それを祭る小屋も、巨木も延焼しながら空中に吹き散らした。

『この惑星は生まれ行く生命を祝福する舞台だッ!!』

早妃ショウゾウの胸を剛爪が削り取る

『それを貴様ら死んだ者たちがッ!!』

早妃フミコの胴体を尾がひしゃげた

『自己中心的な思想で!!踏み荒らすでないッッ!!!』

ギギぃぃ、ギギ……

二人は一瞬にして、膝をつき

従えてる蟲たちは勢力をなくしていた

「つえぇじゃねぇか。」
「もういやだ。これが神官で最も弱いだなんて気がおかしくなりそう。」

『ガハははは――!!逃げることも出来んかぁあ!!?』


大嵐

炎の海

蟲の巣窟

そのなかで大神の高笑いだけが響いていった。






――――――――――――――――――

その光景を三島は息を呑みつつも双眼鏡で観戦していた。
代行者だの神官だの……そんな大それたものはイマイチ信用していなかった。

オおおおおぉぉぉぉぉぉんんんんん――――――

雷鳴とともに鳴り響く怒号が耳に届くたびに、彼らが認知外の存在だと認めざる得なかった。

「三島刑事!!
桜刑事の保護及び搬送が完了しました。
わたし達も急いで撤退しましょう!!」

入りたての新人が鬼気迫る顔で迫った

「あんな化け物と関わっちゃあ命がいくつあっても足りません!!」

「…………」

女刑事は双眼鏡からそっと目を離した。

「そう、ね」
そして11区を探査している部下たちに、インカムを使って伝達をし始めた。

『調査班は隣の12区まで後退。そこで本部に現状報告。救護班は20区病院に急行。
そこまでの指揮は田中に託す』


「え?三島刑事は?」
新人が不安そうな目を向ける。

「私は、メアリー女史を助けに行く――!!」
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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