其の百四十 女の戦い

文字数 2,138文字

『ふふ、まさか、女子高生を50万で買ってくれるなんて、男っていうのはほんっとに馬鹿ね。』

鞄に入っている札束を見ながら、三尾ハナコはじゅるりとよだれを啜る。

『あの子は賢いから。――私にとっては邪魔になるし、ここで【人の役に立ってもらおう】じゃない。』

女は家の前から去っていった。
自分が手塩掛けて、美人に育てた娘を、金に換えて。

-―――――――――――-―――――――――――

『イヤッ!!離してよ……っっ!!!』

『ひどいじゃないか~~。ぼ、ぼく君をみたときからこんなのにも好きだったんだよ。
君のためにお金を集めてきたってのに、この対応がどうかと思うよ~~』

玄関で嫌な予感がしたアヤカは、急いでドアを閉じようとしたが、大人の男の力に敵わず、家に侵入されてしまった。
たどたどしく、抵抗をするも状況に混乱している彼女に、男の拳が飛んでくる。

顎を殴られた彼女は、身体が宙に浮いて、思い切り台所に身体をぶつけ、床に倒れる。
カンっとナイフが頭の隣に突き刺さった。

『ご、ごめんねぇ~~、綺麗な顔に傷つけたくなかったけど、つい興奮しちゃってげへ。
でもハナコさんも太っ腹だぁ。こんなお嬢ちゃんをくれるなんて。』

『おか、あさんが……!?』

男は、床に倒れているアヤカの下半身に馬乗りになって、彼女の胸に手を伸ばす。

『そうだよぉ。大金だったらくれてやるって言ってたからね、お金を集めて行ったら、喜んでここまで連れてきてくれたよ。
ま、ま、まぁ僕はもともとアヤカちゃんのことが好きだったから、こうなって当然だよね……!』

味見をするように胸をさすられるアヤカは、ゴキブリが這ってる気がして、顔をしかめた。
黄土色のシミをつくった男のシャツから、生ごみのような臭いが漂う

『まったく…女っていいよねぇ。体さえあれば、生きてはいけるんだから。』

『は……?』
変わらずのギトギトとした声が、アヤカの耳に突き刺さる。

『ぼ、ぼ、僕は男に生まれちゃったから、勉強とか運動とかできなくて、いじめられて、会社でも世間にも居場所はないのに、女って体が綺麗だったらどこにもいけんじゃん!
顔とか服とか体に気をつかえば、求められるじゃん!!』

自分の体の上に馬乗りになって、子供みたいなことを話す40代の男の話は、アヤカにとってめまいを起こすことは、簡単だった。

『男なんて、砂漠からオアシス見つけるような、運の良い人しか彼女作れないのに、
女って自販機感覚でお金さえ使ったらすぐに彼氏つくれんじゃん!!
花のように愛されて、そこにいるだけで愛されて!!!男女不平等と思うんだ!!!
でもね、嘆いても仕方ないから行動したよ。』

触るだけでは飽きたのか、服をめくりあげて、彼女のブラジャーを覗きはじめた。

『僕は優しいからね、君だけじゃなくってお母さんも招待しようと思うんだ。』

『……!!』

『アヤカちゃんのことは知ってるよ。お母さんのために色んな努力をしてきたっていうのに、ハナコさん 君のこと見てくれなかったんでしょ?
でももう大丈夫!!僕の友達は、ハナコさんがタイプっていう人も結構いたから、お母さんと君をいっしょに招待する計画になってるんだ。お母さんは知らないけど。』

『どうして…どうしてそこまで――、そんなに女が欲しいの?』

男と女が絡むこの内容に、アヤカはどこか悔しさが滲んでくる。

『違うよ。僕たちはただ、愛し合いたいだけだよ。だって1人生きていくことはできないでしょ?
なら、僕達だけでも楽しくなろうよ。』

『……いやよ――、そんな、そんな動物みたいな生き方……っ!!』

『アヤカちゃんだって人っていう動物じゃないか!!
人に求められてるっていう贅沢なことなのに、どこが嫌なんだ!!??
君はお母さんには愛されていなかった!!!だから今度は僕たちが愛してあげるよぉぉおお!!
いっしょに!!いっしょに!!!!いっしょに死のうよう!!!!!』


興奮した男は、力加減を抜いて、アヤカの服を次々と破いて、首を締めあげる。
それはオオカミが羊を食い散らかすよう。(珍しくない)

(これが、これが終わり方?
お父さんが交通事故で死んで、不要な物は全部捨てて、得たものが害虫?)

【君が、君の嫌いな害虫を増やす、その最もたる存在()だよ。】



履いてる黒タイツがビリビリと破られる

(認めない。そんなの認めたくない。
わたしは、わたしは、、ただお父さんとお母さんと暮らしていければよかったのに)

両足が開かれる

(人間に生まれたからこうなったのか。願っても望んでもなかったのに、女に生まれたからこうなっているのか。蟲に寄生されるのか。)

下着を脱がされ、男が自信満々に、硬く反り立った男性器を見せつける。

(こんなことが、こんなことが許されるのか。
いや――許されるか。私の体は、)

『アヤカちゃん、まずはさ、ぼ、ぼ、僕の子供を最初に孕んでね……っっ♡』
男性器が女性器入口を撫でる。

【でも女の子って凄いじゃん!!自分の体で生命を作るんだよ!?すごない!?【神】より神様してるよ☆】

ああ

【そうよ。自分のためなら、人を殺せるくらいの、すっごいものを。】

ああああ

ああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああ―――っっっ!!!!!!!

男が入り込んだとき、床に刺さったナイフを振り上げた。

(私のからだは、私の男のモノだ。)
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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