其の九十六 大浜ナオミの疑惑

文字数 1,459文字

物理室で話すルシフェルとナオミ、満月がてらす仄かな明かりのもと以前語り合う。

「違うから。断じて違うから。イチゴにつられたわけではないから。」

「分かっている。次は10袋は用意しておこう。」





ごとんっと3つ目の皿が置かれた




「フゥ、でも私から話すことは何もないわよ。学校なんて行ってないし。」

彼はヒビの入った窓ガラスを目に入れた。
「あのガラスについて。」

「絶妙なところついてくるわね……」
彼女は深くため息をついた。







「学校には行ってないって言ったでしょ。ようは停学。あれはその時にできたのよ。」

「相手を殴ってヒビが?」

「いいえ。わたしが殴られたときのよ。
癪だけど『吉田』っていう同じ生徒会のヤツにね」

「話が掴めないな。」

「停学の原因は同じクラスメイトへの暴行よ。8人くらいをちょっとね。

あのときは…そう…ちょっと気分悪かったのよ……」

口をつぐむルシフェル

「恥ずかしいけど、先生が教室に来た後も暴れまわってね。

っで連行。それで―――」




「……殴られたわけ。この湿布とあのガラスはそれよ。」

イヤな記憶なのか何か言おうとしてその口を閉じた。

『……少しは落ち着いた?それは良かった。同じ生徒会の仲だもの。
ま、安心して。お前には情状酌量の余地がある。特別措置者として計らってもらうよ。
周りの会員はしっかり見てるんだ。決めつけるな。』

罰が悪そうに彼女は湿布をなでた。



「生徒会か。君はそこに所属しているのか?」
空気を読んで話題を変える彼。

「ん。そうよ。こんな暴力女でも会に選ばれたのよ。」

【生徒会について】

いちいち顔に掛かる髪を鬱陶しく思った彼女は髪を結び始めた。

「生徒会……そう生徒会よ!!」

「どうしたんだ?急に大きな声をあげて。」

「前々から感じてたけど……メンバーがおかしいのよっ!!」
がつんと机を叩く。

「いいちょっと整理させて。

生徒会 第一席 会長 福栄シンゾウ
生徒会長ね。いつも顔が暗いんだけど優秀な人よ

生徒会 第二席 副会長は三尾アヤカ
かわいい後輩ね。自己責任が強すぎるのが玉に瑕だけど

生徒会 第三席 保健委員長 久木山レン
ハチミツってあだ名で呼ばれる人ね。

生徒会 第四席 文学委員長 堤ヨウ
バイオリン弾いてる奴ね。あたしの馴染みで特になにもしていないお気楽なやつよ。

生徒会 第五席 理学委員長 私こと大浜ナオミ
可愛いわたしね。

生徒会 第六席 図書委員長 雨宿スイ
男の中では比較てきカワイイ部類入る子よ

生徒会 第七席 生徒会特別措置者 吉田ミョウ
わからないのよねぇ……こいつに関しては何も知らないのよ。こうパッと急に出てきたって感じで。」

ナオミは机を当てもなく指でなじる

「特別措置者……」
ルシフェルが不審な目で復唱する

ナオミはそれに気づくことなく口を回し始めた。

「そうよ『特別措置者』ってへんな役職を引っ張り出して、
そう確か『特別に措置を

って意味で一度聞いたら忘れられないだろ?』って」

ルシフェルの眉間にしわが寄っていく。

「それも含めてなんか人選がおかしいのよ
わたしも停学をくらうくらい手がでるタイプだし。

バレー部主将(三尾アヤカ)に忙しい副会長を任命するかしら?

久木山レンも雨宿スイも今でこそ気さくな生徒になってるけど、最近までは暴走軍隊を率いてたし。

3年前だったかしら、この二人に加えて大窄カイの3人で巨大カルト暴力団体を壊滅させたって新聞の記事にでてたし。

そして7人目の吉田ミョウ。『今年だけ特例の7人目を配置する』とか綺麗すぎるくらいの流れよ。

この生徒会って本当に会長が組織したのかしら?」


そこまで言って、彼女は満月に目をやった。
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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