其の四十九 『―――』と『魅力』

文字数 852文字

 あたしは、どうも、『空っぽ』らしい。

 だが、それは大変困ったことになった。

 生徒会(おままごと)のなかで、あたしだけが手に何ももたずにペタンと座っている、ということになるからだ。

 困った、困った。

 何かを言われたら、あたしはそれに従おう。

 皿だったり、フライパンだったり、お人形さんを持とう。

 お姉さん役だったり、お母さん役だったり――なんだって構わない。

 「…………」

 いや、それこそ馬鹿バカしい。遊びで指示待ちなど――

 「はぁ。」

 廊下にそびえる支柱を一瞥する。
 4月ごろだったか、この柱に吉田を叩きつけたのは。

 「…」
 アイツはいつも笑っている。
 アダルト本は読み漁り、カッコつけたようにコーヒーばっかり飲んでる。

 それもブラック。

 学校ではいつもふざけたことばかりぼやいて。

 『復讐のためにオレは生きてるのさ。』

 いくらなんでも拗らせすぎだろう。

 ただ気に入らないのは、そんな彼でさえ






 「あ、ナオミ先輩。」
 ふと、声を掛けられたので振り返った。
 

していた腕は順調に治ってきてるのか、ギプスは外されて、頭に

を残している――雨宿スイだ。
 「スイ、何かようかしら?」
 腕時計を確認する。
 13時。
 「来週の日曜日って暇ですか?」


 驚いた。先輩で、女である、あたしにそんなことを言ってくるとは。
 「なに?デートでもしたいの?」
 からかってやる。
 「んんっ!!ち、ちがいます!!」
 顔を赤らめてる。かわいい後輩だ。
 「実はその17日にですね、24区校の文化祭があるみたいなんです。」
 24区校の?
 「と、友達に誘われまして、出来るだけ多く人もつれてきて欲しいって。」
 そういうこと。
 「あーね。いいわよ。暇だしあたしも行くわ。」
 「まじっすか!ありがとうございます!!」
 

な笑顔がより人懐っこさを助長させる。











 ――いや純粋無垢じゃない。

 骨折

 ギプス

 包帯

 人々を恐怖へと陥れた――冷夏事件

 『カリスマ』

 なぜ、あたしより年下したなのに――こうも振る舞えるのだろうか……
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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