其の百十 暴君 大窄カイ
文字数 1,042文字
「探したぞ。このクソ猫やろう。」
岩のようにゴツゴツとした巨体い、鉄のように硬く整えられた腕を持った大窄カイが黒豹に近づいていく。
「49区でこの俺様ごと暴力団を奇襲を掛けたと思ったら姿を消しやがって……!
まぁ【コートを着たスカした男】に連れられてここまで来れたが。」
――グググぅぅぅガああぁぁああ………!!
殴られた額を気にして頭部を振りながら、黒豹は両手から血がへばりついた大爪を構えた。
桜刑事や住民たちを襲ったときの【遊び】ではなく、明確な殺意を帯びた構えである
(あの化け物を素手だけで、殴り飛ばすとはなんというパワーか……!?)
桜は黒豹に注意を向けつつも、突然現れた強大な戦士に目をやる。
暗くて分からなかったが、目の前を通ったからこそ気づいた。
彼の体は全体的に切り裂かれていた。白いカッターシャツは血で赤く染まり、制服も穴だらけで向こう側の景色が見えている。
加えて、頭の方が重症のようで、こめかみから鼻と唇を通って顎にかけてパックリと筋繊維が割れて止めどなく出血していた。
「あん……?」
大窄カイが腰をつけて肩で息をする桜と目を合わせる。
「あんたは、
ハハッ!!3年前は世話になったな!!俺だ大窄カイだ。
あん時は迷惑掛けたが、今回は安心しな。俺の標的はあのクソ猫だからなッ!!!」
体中を切り裂かれた重傷者とは思えない豪快な物言いで、今度こそ黒豹の目の前に立った。
「借りは返す。
掛かってこい。手加減はしない――」
夜闇を裂く咆哮とともにサーベルタイガーの瞳が真っ赤に染まった。
7月という昔の話だが、この男は一度吉田ミョウと戦ったことがある。
大窄カイは【暴君】と呼ばれているが、その理由は単純に強くそして戦闘欲が有り余っている姿からである。
高校生3年生とは思えない極めたパワー。
「オッラぁぁあああ!!」
極めたスピード。
「遅いんだよッ!!このウスノロ!!」
極めたガード。
「ッ――そんなもんか!?」
3年前――2018年に【雨宿スイ】【久木山レン】と共に巨大カルト暴力団を壊滅させたのを皮切りに、2021年の現在まで数えきれない組織を、その身一つで潰し続けるという
それ故か、毎日毎日鍛錬をし殺し合いなど、授業中にあくびが出るくらい当たり前のことになった。
「どわっりゃあぁぁあああ!!!!」
バキンっとけたたましい振動と同時に、泥だらけになった一本の大爪が空中を舞った。
「大窄カイ君……君はまだ【早妃マドカ】さんを探しているのかい? 」
桜は嘆息の息を深く吐いた。
岩のようにゴツゴツとした巨体い、鉄のように硬く整えられた腕を持った大窄カイが黒豹に近づいていく。
「49区でこの俺様ごと暴力団を奇襲を掛けたと思ったら姿を消しやがって……!
まぁ【コートを着たスカした男】に連れられてここまで来れたが。」
――グググぅぅぅガああぁぁああ………!!
殴られた額を気にして頭部を振りながら、黒豹は両手から血がへばりついた大爪を構えた。
桜刑事や住民たちを襲ったときの【遊び】ではなく、明確な殺意を帯びた構えである
(あの化け物を素手だけで、殴り飛ばすとはなんというパワーか……!?)
桜は黒豹に注意を向けつつも、突然現れた強大な戦士に目をやる。
暗くて分からなかったが、目の前を通ったからこそ気づいた。
彼の体は全体的に切り裂かれていた。白いカッターシャツは血で赤く染まり、制服も穴だらけで向こう側の景色が見えている。
加えて、頭の方が重症のようで、こめかみから鼻と唇を通って顎にかけてパックリと筋繊維が割れて止めどなく出血していた。
「あん……?」
大窄カイが腰をつけて肩で息をする桜と目を合わせる。
「あんたは、
桜警官
と言ったか?ハハッ!!3年前は世話になったな!!俺だ大窄カイだ。
あん時は迷惑掛けたが、今回は安心しな。俺の標的はあのクソ猫だからなッ!!!」
体中を切り裂かれた重傷者とは思えない豪快な物言いで、今度こそ黒豹の目の前に立った。
「借りは返す。
掛かってこい。手加減はしない――」
夜闇を裂く咆哮とともにサーベルタイガーの瞳が真っ赤に染まった。
7月という昔の話だが、この男は一度吉田ミョウと戦ったことがある。
大窄カイは【暴君】と呼ばれているが、その理由は単純に強くそして戦闘欲が有り余っている姿からである。
高校生3年生とは思えない極めたパワー。
「オッラぁぁあああ!!」
極めたスピード。
「遅いんだよッ!!このウスノロ!!」
極めたガード。
「ッ――そんなもんか!?」
3年前――2018年に【雨宿スイ】【久木山レン】と共に巨大カルト暴力団を壊滅させたのを皮切りに、2021年の現在まで数えきれない組織を、その身一つで潰し続けるという
暇つぶし
を行っている。それ故か、毎日毎日鍛錬をし殺し合いなど、授業中にあくびが出るくらい当たり前のことになった。
「どわっりゃあぁぁあああ!!!!」
バキンっとけたたましい振動と同時に、泥だらけになった一本の大爪が空中を舞った。
「大窄カイ君……君はまだ【早妃マドカ】さんを探しているのかい? 」
桜は嘆息の息を深く吐いた。