其の五十一 市民の平和を守るプロとして

文字数 707文字

 「この島は、1~~50区からなる小さな島だ。」

 ぱっとスライドの画面が切り替わり、地図が表示される。

 「冷夏事件によって、17~~20区が壊滅的打撃を受けた。

 そして、この事件は、30~~40区の範囲を転々としている。」

 鹿島は資料に目を落として、
 「この写真から見ての通り、

。」



 まず写真全体に血で染まっていることは当然、と言わんばかりに、

 齧られた野菜のように

 顔

 腕

 胴体

 足

 が欠損している遺体がほとんどだった。

 ただこれらは




 性別の区別がつかない程、丸め込まれた遺体。

 天井の蛍光灯に垂れ下がっている、小腸や大腸等。

 『獣』が吐いたのか、赤白い嘔吐物。

 ――――
 ―――――――



 「そしてこの一冊の本だ。」

 鹿島は袋に閉じれらた、ボロボロの本を、刑事たちに掲げて見せた。
 

 「リンフォン (凝縮された地獄)」

 そして本をコンコンとこずいて、
 「犯行現場の一つに残されたものだ。

 鑑識まわしてみたが、


 …………。

 正直、証拠や証言は限りなく少なく、諸君らの負担も大きい。」


 だが―――

 「これらの事件は我々にとって最大の汚点である!!

 今後もこのような事件は起きつづけ市民の安寧を!

 家族の安泰を脅かし続けるだろう!!

 ――そのようなことは、到底許されない。

 どうか、どうか、

 

!!

 命を懸けて!捜査に当たってほしいッッ!!!!」



 ハッッッ!!!!!!



 鹿島の激昂を受け、刑事たちの士気は外界を響かせる程に高まった。






 (約束は必ず果たしみせる――。雨宿のボウズ。)

 鹿島もまた、負傷した少年に再び誓った。
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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