其の六十五 メイド長 諫早ナナ

文字数 967文字

「いやー死ぬかと思ったね。実際。」
1年2組の教室より、唇を赤々と腫れている状態で、安堵した表情で吉田は席に座っていた。
「大丈夫ですか……?」
そして、向かいの席にカズミは体を小さくしてオドオドと座っている。
「いや、やばいべアレ!?口の中の舌とかひだとか、食道とか溶け落ちたかと思うくらい――」

早妃家を出た二人は、道々を歩き歩き歩き、薄暗い山道を上り上り上り上り、
そうやって坂の上である24区校へとやってきた。
カズミは無地の薄い長袖長ズボンのジャージをきているおり、蒸し暑さを感じる程度であった。
――が、この吉田ミョウは違う。
しっかりとした真っ黒な学制服を着ていたため、額から首筋からひっきり無し汗が伝っていた。



「ほんっとにすみません!!うちの馬鹿どもが、なんの確認もせずに――!」
勢いよく、メイド服を着た諫早ナナは頭を下げる。
「ほら、あんたも頭を下げなさい!」
となりの緑髪に耳打ちする。
「いッ!?お、おれもぉ?」
「当たり前でしょ!飲み物の管理はあんたなんだから!」
そして二人して頭を下げた。(ケンジは頭をおさえつけられて、強制的に。)

「大丈夫ですよ。……じゃあお詫びとしてこれを氷マシマシにしたヤツを一つ!あ、もちろんで無料で☆」
弱点をついたようなにんまり顔で吉田はメイドに注文した。
「わ、私もそれで、おねがいします。も、もちろん私は払いますから。」

席に座っている二人からのオーダーを受けたメイドは汚名挽回と言わんばかりに
「注文入りました!アイスコーヒーを二つ、氷マシマシで!!」
元気はつらつに声を上げた――。






「ほんとに、一人できてよかったのか?ダチといっしょに来た方が楽しいもんじゃろ。」
「うん……まぁね。」
24区校敷地内のベンチに、一人の女子高生と黒猫が座っていた。
赤、黒、水色のカラフルなシャツに、ふくらはぎまである真っ黒なハイウエストスカート。
高校生にしてはオシャレなコーデである。
「ナオミも、そんな服をもっておったのだな。だが、どうしてまた?」
「別に、

。ただ、着てみたかっただけ。」
ラックはビー玉のような硬い目で彼女を一瞥する。
「じゃあ、あたしは一人で見て回ってくる。何かあるかもしれないしね。」
「うむ……、わかった。」
彼女は立ち上がると、小さな手さげバックから、青いスカーフをお守りのように首に括り付けた。
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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