其の十八 惑星の代行者

文字数 595文字

 ――驚いた。
 ――想像もしなかった。
 (うえ)を見上げると透き通った蒼が形成されている。
 大地(した)を見つめるとなだらかな翠に覆われている。
 空へと向かって建物が数えきれない程多く建設され、綺麗に整地されているのが見て取れる。
 大地をあらゆる人間(生命体)が闊歩し、また鉄馬のようなもの()を走らせている。
 我々が見知った世界は「過去」のものだと、「世界」から殴りつけられた気分になる。


 だが、何も全くの異世界というわけではないらしい。
 ごつごつとした磯を、こけないように慎重に歩いてみた。
 岩々の間で海水は耳になじむ音を奏でていた。


 ――実のところどれほどの月日が経過したのか、自分達でさえ分からなくなってしまった。昔にはこのようなものなど無かった、と一言で言えてしまうくらいに。
 しかしそれではあまりにも軽すぎる。
 自動車が発明されたとき……?       違う。
 武士が台頭したとき……?         違う。
 獣を狩る必要がなくなり皆で稲作を始めたときか……?      いや。
 それとも、
 エベレスト山がまだ海底にあったときだったか……?       いいや。
 私たちが生まれたのは少なくともそんな最近の話ではない。
 そもそも大地に緑などなかった。
 そもそも海水など触れたものではなかった。
 ……。
 ……………。
 見つけた。
 なるほど。それは、まあ、そうなってしまう。
 「4000000000年前--」
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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