其のP はじまりーはじまりー  開幕

文字数 860文字

 2020年  9月31日




 『オレは神を必要としない』
 『ワタシは生命を必要としない』



 約10か月後




 2021年 8月13日






 「は――あああ………」
 女性が目を見開いた。
 「お父さんは――そっかしんじゃったか……。あの娘は?」
 車内の後ろを見やる。
 「よかった……まだ生きてるみたいね。」
 女性の両足は千切れている。


 「おばちゃん……??おばちゃん!!?」
 中性的な少年が声をかけた。
 「あぁ、あなたもいたんだ。あの娘を助けてあげて。まだ生きてるから。」

 ガぎんっと少年はドアを取り外し、少女を抱える。
 「あなた…もしかして腕が――」
 「大丈夫です……、骨折してるだけです。」
 よく見ると少年は大柄な男を抱えていた。
 その上、骨折してるあろう腕で少女を持ち上げる。
 「ッッ――、さぁ、おばちゃんとおじちゃんも!!」
 頭から流れ出る血液により、血まみれとなった顔を顧みず女性の身を心配する。
 「おばちゃん達は駄目みたい。」
 「な、なにを――」
 少年は車内の状況を一瞬で把握してしまった。


 大気と地面が震える。

 暴走車が大型ガソリンスタンドに突っ込んだのだろう。


 「あなた達だけでも助かって。……そう言うしかないみたい。」
 「ア―ああ――あ―」
 何かを言おうと少年は口を動かすが、言葉には成らない。




 ザっと、教えるように

がした。




 「フン…………」



 朱い双眼が少年を捕える。



 「な、なんで――」




 「スイ君!」

 少年と女性が目を合わせる

 「娘を――カズミをお願い。」




 「なんで――まだ―まだ!!!お母さんがッ!お母さんが車の中にいるのよッッ!!離してッ!離してよッッ!!!」
 目を覚ました少女は、金切り声をあげ続けた。





 うだるような夕張を切り裂く様に、ただ叫び続けた。









 朱い双眼は見せつけるように女性の頭を撃った。




そうして






 アスファルトの蜃気楼も


 彼も


さよならを言うように


 姿を消した。











 4か月前

 2021年 4月15日


 「生徒会 特別措置者?」



 このときより



 「そ、会長からの紹介だから、会ってきたら?」






 舞台の開幕とす。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み