其の百二十二 優しい吉田くんからの挑戦状

文字数 1,212文字

17:30

堂々とたる朱さに乗せられて、千切られた花弁のように舞った

ガレキが

灰が

煤が

誰かのストラップが

誰かのプリントが

誰かのカバンが

赤色の侵食を受けて、形を無くしていく

その目下、青年たちが駆け回っていた。

1人は涙を浮かべながら、

1人は鬼さんを煽るよう、笑いながら手を叩いて。


出火して30分。赤い侵食は、何食わぬ顔で、東棟の教室から顔を覗かせて、廊下へと歩を進めていた。

崩壊した天井からの乾燥した応援を受けて、みるみる内に膨れ上がり、その熱を高めていった。


「何かあったと思ったら、こんなことって……」
その光景を見ていたのは久木山レンこと、ハチミツである。

吹き抜けた天井から見える夕焼け、それを映したように、天に向かって希望を示すような、豪炎が迫ってきていた。

「……ッ!??」

隣にあった、3年1組教室を覗く。教室内にでかでかと設置された黒いオブジェクト、ぱっと見で爆弾と察知する。

それほどの異質さが感じ取れた。

『フハハ、キゃハハハハハ――!!楽しみだなぁ!!人が焼け死ぬ姿が見れるなんてなぁ!!
滅多に見れないぜ、こんな焼肉パーティーはよお!!』

スイと通話状態になっているスマホから、けたたましい吉田の声が拾われている。

『お前だって見たいだろ?銃殺と撲殺ぐらいしか経験したことないだろ?
(オレ)が見せてやるってんだよ。同じ人殺しとしてな!!』


「………」

『えぇ?聞かせてくれよ。それだけ人を殺していて、よく高校生活を笑って過ごせたものだな!?

罪の意識なんて無かったのか?

それとも薬物性犯罪人を殺したっていう英雄気分にでも浸っていたのか!?誇りを持っていたのか?

羨ましいよ!!人が人を裁く権利なんて無いのによぉ!!!』


ガンっと鈍い音がして、咳き込む音が聞こえる。


『それで、今度は(オレ)を裁きに来たのかい?
でも残念、(オレ)は強い者でね。

……この惑星(地球)を壊したりなんだりとしなくちゃいけないんだ。

まぁ、君たちとおんなじだから、スイ君ここで死んでね。』

『ガ……ァァ……―――!!』

スイの重苦しい悲鳴が聞こえたとき、横の視界が化学反応でも起こしたのか光とともに爆ぜた。



「スイ……!!」

警鐘のよう早鐘を打つ心臓を押さえるよう、呼吸をしたあと職員室に続く廊下を振り向いた。


その廊下に4人の大人が立ちふさがっていた。
各々、拳銃やナイフ、金槌という凶器を持ち合わせて。

「せん、せい……」

1年のときの担任、2年のときバイクで語り合った教師など馴染み深い人であった。

塗りつぶされた瞳をのぞけば。

――深呼吸をする。

あのときの怒りを思い出す。

後に引けない道を想像し、そこに進む英雄をイメージする。

ツギハオマエガコウナルバンダ――教師はそういって男子生徒の生首を掲げる。

瞬間、人間性が切れるのを感じて、ハチミツは抜刀した


【ステータス】

久木山レン(ハチミツ)

パワー A−

ガード A

体力  A

〈特徴〉

ある少女への敬意――雨宿スイと同記

決意――決めたことであれば、人殺しをためらわない
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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