其の七十七 文化祭の終わり

文字数 1,454文字

「それで、俺たちはいつまで歩き売りすればいいんだ。」

「………。」

「だーかーらー、ケンジよ在庫全部売り切るまでって言ってるだろ?
もったいないし。」

「ミナコの言う通りだ。早く売って俺たちもご先祖様のために踊ろうぜ。」

太陽は、赤くそまり空を焼いていた。
その空の下泉ソウマ、有喜ミナコ、川原ケンジ、堺キンノスケの4人は売り子をしていた。
そんな中、キンノスケの表情がやたらと暗かったのを、ソウマは気にかけていた。

「キンが暗いって?

『天下一腕づもう大会』で負けたんだとよ。それも決勝戦で。」

「キンが腕づもうで負けるぅ?まじか!?」

「俺らだっておどろきだよ。

握力100キロオーバークラスの決勝戦で、

先輩とはいえ、

に負けるときた。」

ケンジは、目と舌をピエロのように震わせながらキンノスケを煽った。

「女の名前は誰って言ったか……

確か『大浜――』」

「ん?あああああああーーー!!!!!

ナナのヤツ、あたし等を置いて

とダンスしてやがる。」

ミナコは悔しそうに地団駄を踏んで叫びを上げていた。

「スイさんが顔赤らめてら。あんな側面もあったんだなぁ。

まぁいいじゃねぇか。売り終わったら4人でおどれば。」

こうして、爽やかと怒りと道化と悔しさが混じった4人は、
カップルやら家族やら友人たちやらで、神聖な踊り場と化した広場を練り歩いた。






24区校 屋上


「やらないんですか?」
「そういう気分じゃない。」
「じゃあ、ここで見とくだけ?」
「そうだ。」
「なぁんだつまんない。新人の教育とかのストレスを晴らしたかったのに。

そろそろ派手にやらかしますよ。とくにあの二人は。」

「勝手にやらせとけ。度がすぎたら私自ら殺す。」
「無責任に命を散らせるのどうかと。」
「口を閉じろ。それとも先に死にたいか?」
「まぁこわいこわい。」

「今日は傍観するだけか?」
「そうだ。」
「まぁ、あなたもいたの?

偽善者ぶって

不幸を持ってることしか能の無いクソ猫風情が。」
「口を閉じろと、言われんかったか?」
「あなたに適用する筋合いはないわ。」
「そうか。フン―――ッ」
「ッ―――ふ、フフフフフフフフ。あたしの手はおいしいかしら?ちなみにあなたの手は腐り落ちた脳みそみたいな味ね。」
「お主の手こそ、ヘドロのような舌ざわりじゃな。」

「―――ころす」
「―――しね」

「『口を閉じろ。』そう言ったはずだが?」

「………チ」

「………。

よくもまぁ、このような状況でこの娘は寝ていますわね。しかもあなた様の膝枕で。

あたしの見間違いでなければ、指にかじりついて血をすすってる様に見えますわ。」

「こいつなりの『生の実感』だ。小賢しいがな。」


。儂らの目標は決まったのか?」
「そういえば聞いてませんでしたわね。」


「《《3月にこの島の生命を絶滅させる。

その後この惑星を壊滅させる》》。

異論は?」

「―――ない。」

「ありませんわ。ふ、フフフははははははははは――」

3人の目が



黒猫は真顔で頷いた。

教師は、楽しみで仕方ない感じに、口を開いて大いにワラッタ。

男子高校生は、膝上に頭を乗せてる少女の頭をふわり撫でた後、


空に浮かんでいる、

夕月を突き刺すように、

音も無く仰いだ。





20区中央病院 隔離集中治療室の近辺


「なによ……これ……」


「ハチちゃん?

なにかみつけたの?」

「う、ううん。なんでもないわ。

ここちょっと薄暗いし、探検ごっこはまた今度にしましょうか。」

ハチミツは動揺を、目の前のユキに伝わらないように力を抜いて話した。


ホコリと泥と血が固まって、黒ずんだ『

』と書かれたネームプレートをを握りしめて。
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登場人物紹介

吉田ミョウ/パーフィット (AL)


生徒会七人目の生徒


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