情事の後始末
文字数 1,506文字
放心状態の悠と怒りの爆弾が爆発寸前の圭、頬を赤らめて見つめている明里……。目の前には、顔を真っ赤にさせて腰を抜かしている結愛と普通に突っ立っている勝己がいた。勝利を確信した勝己はガッツポーズをして、圭を威嚇してきた。
それが圭の逆鱗に触れたのか圭は勝己に殴りかかったのであった。先に手をだした方が負け、とか言うがどっちが先に手を出したのか分からなくなってきた。
多分、先に手を出したのは勝己の方だろうけど……相手は、心神耗弱状態なので罪に問われても軽い罰しか与えられない。操られているとなると話がまた別だ。
しかし、殴りかかった圭が何もないのに跳ね返され、ゴミ箱にぶつかって呻いていた。何が起きたの?
高らかに笑う勝己が今は怖い。何かに憑依されているのは分かるどうしたらいいんだか? 一成にヘルプを求めるか……。
いやいや、問題をあまり大きくしたくない……。でも、どうしたら……。ここは、この作戦でいこう!!
そういえば、お兄ちゃんは相馬先生とどこかに出掛けたんだっけ……。くっそー……。どうすればいい。更に情事の後始末ではなくて要求されたぞ? 待て!! 色々話がぶっ飛んでいるぞ?
悠と圭がまともな男で良かった……。
下手したら乗っかってた……。
後ろを追うように勝己が追いかけていく。夕焼け空に黒い雲が覆い始める……。遠くの方で雷鳴が聞こえ始める……。
歌音たち五人も傘とレインコートを持って宿舎を飛びだした。クラスメイトには、嵐がくるから外に出ている生徒や先生を連れ戻す、と嘘をついて……。合宿に嵐がやってくる……。聞こえる雷鳴がそう告げていた。