ブルーローズの奇跡
文字数 1,072文字
歌音が、目を覚ますとあらゆる薬品の臭いがしてくる。ここは、どこなんだろうか……。何かと温かさを感じる……。
さっき……気を失う前、最後に目に入ったのは圭の驚きの表情と心配の感情……が見えたのだ。
だから……歌音は圭を探すために保健室を出た。まだ少し身体が怠い感じがあったが、圭を探すことの方を優先してしまう……。
歌音は、圭と仲のよい友達同士だ。
でも、最近変わりつつある。
歌音は、中庭へ出た。
今日は、お昼過ぎから風が強く吹いており、花びらなどを散らしている。中庭に出ると、コスモスの花びらが舞い上がった。噴水の近くのベンチに圭が座っていた。
歌音は、圭のいる所に走りだし、目の前まで行った。
でも、嫌な気持ちなんかにはならなかった。
先程までの恐怖が抜けていく……。癒しの感覚が歌音の中に満ち溢れていた。歌音は、抱き締めてきた圭の頭を撫でながら、こう呟いた。
そして、青いバラを手渡しで圭からもらった。
今回ばかりは、神に救われたとさえ思ってしまう。
そして、圭との出会いは奇跡に近い。唯一、歌音を最初に認めてくれた仲のよい友達……。
歌音は、その友情や愛情・奇跡を大事にしていこう、と思うのであった。