予言書の変化
文字数 1,993文字
歌音は、アネモネ財団の他に新聞部の脅威と戦う必要があった。
楽しい楽曲をお客様に届けたい。
歌音は、いつもお客様重視・演奏者重視の演奏を心がけている。
それでも、求めているものはまだまだ完成には程遠かった。
歌音には、演奏中でも人の心を見ている。曲中の中でも普段の生活の中でも僅かな変化を見逃すことはなかったのである。
今回もそうであろう。
最近、日が沈むのが早くなってきた。
今日の合奏も多分上手くいかなかった、と歌音が沈んでいた。
中には、多分一成だけしかいない、と歌音は思い、数学準備室の扉を叩いた。
何故か、相馬先生が数学準備室にいた。何か話し合っていたのだろうか、と歌音は考える。ありもしないようなことまで頭に思い浮かんでき、思考が安定してこない。
昨日、一成は飲食店で酔っぱらって暴れて、吐いて、トイレの便座に顔を押し付けて爆睡をしているが、顔色を見ている限りだと元気そうだった。
しかし、歌音は心から二人におめでとう、とは言えなかった。