ムッツリ王子と心強きシスターの秘め事
文字数 2,972文字
触れられたくない。それなら、いっそうの事、籠の中に閉じ込めてしまいたい……、と思っていた時期もあった。
そうすると、デメリットの方が多くなってくる。一成は、そのデメリットを許せなかったのである。
亜里沙は、楽器ケースからトランペットを取り出し、布で磨き始めた。金色に輝くトランペットは、今にも本番の舞台に立ちたそうに亜里沙の事を見つめているかのようだった。
そして現在、歌音のサポートをしてもらっているのだ。これも契約付きだ。正樹がぬいぐるみから人間の姿に戻る方法を見つけるまでの間、この世界を救う方法を歌音に伝授する、という約束付きの契約。
その事で、物語はスピードをあげて進み始めているのである。
それに何時も一成は悩まされているのである。悩むも何も一成には、恥ずかしくて出来ないことだからだ。後々、出来るようになると思っていたが、いつまで経っても一成からは出来ないのである。
電気を消すと、一成も亜里沙が入り込んだベッドの中に入り込んだのであった。
明日は良い日になる、と心に希望を持ちながら、眠りにつくのであった。