狙われる命
文字数 1,335文字
歌音……今、避けきれなかったら死んでた……。上のベランダからは、中年のおばさんが謝っている……。悪意は感じられない。これは、ただの事故だろう……。歌音は、見過ごすことにした。
隣にいる圭は、その事を不審に思い始めている事に、歌音は気づいていない。
そして、圭の胸に指をつきあてこう宣言する。
電柱に設置している看板が降ってきたからだ。
圭も今気がついたのか、慌てて能力を発動させる。
水の球は、看板を貫通し、歌音たちの隣に激しい金属音を出し、落下した。
圭が、カッターナイフの刃を持っている。何というか……何て陰湿な嫌がらせなんだ……。全く……歌音は、完全に何者かに狙われているんだ、と実感する。
今回の事件は、嫌な予感しかしない……。いつも嫌な予感を感じているけど、今回のは最大級の危機だと思っている。
果たして、歌音はこの先、生きて過ごすことが出来るのだろうか……。
その不安にかられ、一成の担当する数学の授業も集中出来なかったのであった。