木こりと囚われの姫巫女
文字数 2,324文字
これがこの世界の現実なのだから……。
さて、今日詩織の夢世界に誘われたのは、歌音と圭と聡太であった。顔を見合わせるなり、三人で騒いだのを覚えているのだが……。
一本の矢が木に刺さっている。歌音は、さっきの攻撃が当たっていたら死んでいただろうと思い、その場にへたれこんでいまった。怖くて仕方ない。
また、崖の上の姫巫女が弓を射ようとしている。そのターゲットに入っていたのは圭であった。圭は、その事にまだ気がついていない。歌音は圭に向かって走り出す。間に合え!! それと同時に姫巫女から矢が放たれた。目の前に飛び込んでくる歌音と弓に気がついた圭だが何も出来ない。守ることも回避することも自らでは出来なかったのだ。
歌音に勢いよく撥ね飛ばされた圭は、地面に尻餅をついた。歌音は圭に抱き付くような形になってしまう。その直後、歌音は背中に激しい痛みを感じる。声がうまく出せない。口の中に血の味が広がっていく。圭は、まだその事に気がついていない。
聡太も声を出せずにその場で固まってしまった。そして、姫巫女を睨み付ける。
次に目を覚ましたのは、各自の部屋であった。
歌音の部屋に着くとノックもせずに開ける。明里が戸惑った表情でもう一人のこの部屋の主を呼び続けている。