クロユリ
文字数 1,608文字
ここ数日、美園は何をしているのか分からない。どうなっているのかも……。気がついたら寮で寝ていたり、町にいたり……。何をしているのだろうか……。
美園は、本当に正常なんだろうか?
あの時の歌音の驚いた顔は、美園の頭から離れない。
美園は、歌音に何をしたの?
どうしてこんなことになったの? 魔術師さんに騙されたの? 今の美園に誰も近づかないで……。
しかし、それは叶わない。この部屋には、香菜・恵都・真奈美・冬馬がいる……。
また、目の前が真っ赤に染まっていく。もう自分が分からない……。どうしてこんなことになってしまったのかも……曖昧になって考える暇も与えてくれない……。
美園は、魔術師さんに騙されているのも気がついていないぐらい……自分を見失いそうで怖い……。恐怖に怯える……。
でも、そのなのどうでもよくなってきた……。美園は、もう本当の自分には戻れない……。
美園は、恋を知らないけど……周りは知っている。何か許せないなぁ……。
美園は、ドラムの前に座っていた椅子から立ち上がった。
周りは、美園の異変に気がついたのか部屋から逃げ出す人もいた。
残されたのは、恵都と美園だけになっていた。香菜は、扉の所から美園の事を見ている……。
他の人は、歌音か先生たちを呼びに行ったんだろう。怪力の能力を持つ香菜には、手を出すわけにはいかないわ……。美園がぼこぼこにされるから……。
美園は、恵都くんに狙いを定める。
その時、目に入ったのは……柏原先生と冬馬・真奈美だった。その後ろからは、歌音と圭もついてきていた。香菜は、美園の事を見て固まっている。
もう……美園のことはほっておいて……。
今は、それだけしか思うことが出来なかった。