音楽家を目指す農夫に迫る悪夢
文字数 2,456文字
最近謎の奇病が流行っているようだ。
急に意識を失って深い眠りが続く奇病。人々はその病を「眠り姫症候群」と名付けたのである。
聡太の父親もその病にやられてしまったのである。意識は戻っていない。学校でもその話が話題となっており、今日の話の話題となっているのだ。その奇病には、誰かが関わっている可能性がある、と教師たちもパトロールを始めているのだ。
しかしだ。今日、本校でも「眠り姫症候群」の生徒がでてしまったのだ。
クラスメイトもその話を聞いて、用心を深めたのであるが……。
聡太は、先ほどのことを歌音に見られた上に、圭と郁にも見られたのだ。見られたことと聞かれてしまったことに聡太はショックを隠せない。
郁と詩織は見守ることしかできない。「マナティー・リリック序曲」もどんよりと濁ったかのような音色がチューバ・コントラバスの音色が響き渡っていた。郁と詩織の音まで暗くなってしまう。暗い音色に嫌気がさした詩織は、一度休憩を取ろうと提案してきたので、今は休憩を挟んでいるのである。それでも、聡太のマイナス思考発言は、止まることを知らない。郁と詩織も巻き込まれ、だんだん憂鬱になってきたのだ。
聡太は、練習を抜け出し中庭に出てきた。空は、どんより曇り空。今の聡太の心の中のように空も空気を読んでくれている。
そして、聡太はため息をつき呟いた。
聡太は、今朝の話を思い出した。
「眠り姫症候群」
聡太の父親を苦しめている謎の病。聡太は下を向き、色々考えを巡らせた。どんな病なのか聡太には想像もつかない。
聡太が頭を悩ませていると聡太の前に不審な男が現れたのだ。
怒りと悲しみがMAXに達した聡太は、男に殴りかかろうとした。しかし、それが出来ずに聡太は地面に倒れこんだ。
男の目は、赤く怪しく光っている。それと同時に、聡太は激しい眠気に襲われる。これはヤバい、と悟った聡太であるが、眠すぎて声を出すことが出来ない。あくびが次々と出てくる。気を付けないと永遠の眠りに落ちてしまいそうだ。その恐怖に聡太は怯える事しかできない。
男は、微笑むのがうっすらと聡太の視界に映る。
一成がこちらに来てくれたことに安心した聡太は深い眠りに身体を預けるしかなかったのだ。
一成が、聡太を起こそうとするも反応がない。一成の表情に徐々に怒りが満ち溢れてくる。一成は、聡太の受けた痛みを覚え、男に手をかざしたが、結界によって妨害される。一成は、舌打ちをし男に再び攻撃しようとした。
一成がもう一言発しようとしたが、男には先に逃げられてしまったのであった。
一成が、聡太の身体を揺すって起こそうとしたが、聡太が起きることはなかったのであった。