孤独の戦士
文字数 1,300文字
だから、幸が薄くならないように空手を習い、黒帯までとった。
しかし、勝己の幸の薄さは度を越えていた……。
次にテナーサックスを始めた……。ソロを吹けば勝己の幸の薄さはおさまると……。
しかし、幸の薄さは泣きそうなぐらいで……ソロなんて吹いたことはなかった。
この間のオープンキャンパスだってそうだ。「故郷の空」でテナーサックスを吹いていたが、ソロは白川結愛が担当していた。
勝己は、悔しい。ソロを吹く機会がないまま七年あまり……。目立てないなら……勝己の存在価値がないのかもしれない……。
とても可愛らしい女の子だが、気が強く俺とウマがあわない。
そして、白川結愛は俺から離れていったのだ。パートナー制度さえなければ、勝己は一人でのんびりと幸の薄さは気になっても普通に過ごせたのに……。
白川結愛の存在は、勝己の運命さえ変えてしまったのだ……。
この悩みは、勝己一人では解決できそうにない。勝己は、白川結愛をどう思っているのだろうか……。邪魔ではない……。ただ関わりかたが分からないだけなのかもしれない。 勝己は、人との関わりが苦手だから……。
しかし、白川圭は鈴鹿歌音の味方についた。中立の立場を利用するとか卑怯だぞ?
白川結愛は、完全に鈴鹿歌音の味方だ。
しかし、勝己は鈴鹿歌音の事を信用していない。その共感覚とやらを引き出しているのだろうけど、俺の感覚とは異なるものだった……。
だから、勝己は鈴鹿歌音の事は信用したくないし、声を聞きたくもない。味方についたパートナーの白川結愛の声もだ。
鈴鹿歌音の味方についたやつは、全員勝己の敵だ。
それならこの先後悔してもいいよ、と勝己は思うのであった。