わたしの存在意義 前編①
文字数 2,062文字
光のない世界に一筋の光が射し込んできた、とでも言える。屈折することなく、真っ直ぐに、そのまま射し込んできた物だから、ボクにとっては、物理では証明されない新たな事案を生み出してこられた、とさえ思った。
その日から世界が変わり始めた。色々な必然的な出会いは、何から何まで変化と言えよう。
「全ての出会いは、偶然であり、必然的に起きるものである」
今となっては昔の話だが、ボクも彼女も死んでしまった。未だに成仏出来ず、この世界をさ迷い続ける。
それは、いつまで続くのかも分からぬまま、ボクと彼女が死んでから二年とちょっとの歳月が流れていた。
里紗side
最終的にわたしと昴は、どれだけ抗ったとしても、共にこの世界では生き残れない運命なのだから。
でも、わたしと昴が死ぬ事で何度も繰り返されたこの世界にも憎らしさを感じる。それは、わたしの唯一の思いでもあり、悠くんにお願いされた最期の手段でもある訳で、悩みの種になりつつあった。
二十一日から降り始めた雪は昨夜に止み、冷たい澄んだ空気が辺りを覆い尽くしていた。
わたしは、渚に本当の事を言えないまま、昴にも隠し事をしたまま、何も出来ないのだろうか? 弟と仲違いをしたまま一生を終えてしまうのだろうか?
不安が黒く渦巻いたまま、弱音も吐けないまま暗い暗い闇に包まれた世界に堕ちた気分になったまま、“約束”の時間を迎えてしまった。