優しい彼女
文字数 1,618文字
でも、色々な人がお見舞いに来てくれた。その事が嬉しかった。
学校に久しぶりに行くと、クラスの人たちは、ヒソヒソと話し合っているのが分かる。歌音の復帰を待っていたのは、少ないのであろう……。渚が里紗を引き連れてやってくる。
そういえば、「太陽のワルツ」……。そろそろ完璧に固めておかないと無理かも……。
「シンフォニア・ノビリッシマ」もそろそろ完成に近づけたい。
歌音は、指揮棒を手に取りそう思いながら合奏に挑むのであった。
心のない演奏が心ある演奏を飲み込む。少数と大多数では、少数の方が負けるに決まっている……。
オーボエソロにバトンが渡される。ここのソロは、陽菜ではなく、美羽が担当している。美羽の指が綺麗に動いている……音も問題はない。
しかし、何だろう……。何か味気無い。お肉を焼いたとしたなら、塩コショウなどのスパイスなどは効いていない……肉本来の味……。どうしてだろうか……。歌音は、一度指揮を止めることにした。
しかし、何かが足りない感じがする。優しさはあるけど厳しさがないみたいな……。