圭の告白と歌音の想い人の正体
文字数 2,226文字
正気を失った圭とそれに恐怖を覚える歌音の抗争戦が勃発していた。
しかし、それも遂に終わりを迎えてしまう。
しかし、圭はそれをさせなかった。
どうしてこんなことになってしまったのであろうか……。
歌音の不手際が原因なのか圭の狂気が原因なのか歌音も分からなくなっていた。
圭の手が震えている事に歌音は気づく。歌音は、圭に手を押さえつけられていて動かすことが出来ない。どうにかして圭の手の震えを抑えてあげたい、と思う。
しかし、今の歌音にはどうすることも出来なかった。
歌音だけが圭を救うことが出来る。悠と結愛・明里でもない。いくら生まれた時から一緒にいようが、昔からの幼馴染であってもパートナーである歌音だけが圭を救うことが出来る。
しかし、圭の告白は歌音にとっては驚きだった。
「あの日からずっと好きだった」と圭に言われた歌音は混乱していた。
歌音の好きな人を思い返す。頭の中には、先程圭に告白された事しか頭に残っていないのと何よりも圭の顔が近い。視線と視線が一直線にぶつかり合う距離にある。唇同士が触れてしまいそうな距離。十センチぐらいの距離。
歌音は、それだけで何も考えられなくなった。
甘い声・吐息さえ愛しく感じてしまう。こんなにも好きになった人はこれまでにいない。
こんな時は、何て言えばよかったんだっけ?
こんなにも大好きな人を死なせる訳にはいかない。甘い香りに誘われる蝶とは、こういうことなんだろう。NOとは、言えなくなってしまう。
歌音は、心に決めた。