黄色のバラと黄色のカーネーションとアネモネの花束(黄色のバラ編)
文字数 1,366文字
ちょうど双葉は、ピアノを辞めてユーフォニアムを始めたいと思ったのもその頃だった。
結城双葉は、同級生で親友の一樹と一緒にピアノをやっていた。ピアノは、お母さんにすすめられてやっていた記憶がある。
なのに……周りはちょっとできただけ……たまたまできただけなのに、双葉のことを天才だ、とか天使だ、とか言ってきたので辞めるに辞められない状態を作られてしまった。
その頃に出会ったのが、ミミだった。
ミミも双葉や一樹くんの事を天才だ、と言ってきた。
双葉は、天才なんかじゃない!! 一人の人間として生きたいのに……。天才、と言う言葉が双葉にずっしりとのしかかってくる……。双葉は、天才なんかじゃない……決して!!
天才なのは、ミミと一樹だよ……。
双葉は、その頃からピアノを辞めて新しい楽器がしたい、と思うようになったのであった。
その時に双葉は、ユーフォニアムの虜になったのだ。一樹もそうだったみたいで、一緒にピアノを辞めてユーフォニアムを始めよう、と話をしたのだ。ミミにも言わないといけない……。その事を聞いたミミはどう思うだろうか……。
双葉は、この日から後悔をしている。
双葉は、ミミと同室だけどこの学校に来てから話したことがなかった。こんなに近くて遠い存在になってたんだ……。ベッドの脇には、黄色のバラの栞を挟んだ本が置かれていた。
そうか……。読書中に寝てしまったんだな……。
双葉は、ベッドから起き上がり、周りを見回した。
双葉は、驚く。ミミが大事にしているウサギの縫いぐるみが、地面に転がり、片腕がちぎれかけている。黄色のカーネーションを生けていた花瓶は、地面に落ちて粉々に割れている。辺りには、カーネーションの黄色の花弁が飛び散っていた。
双葉が寝ている間に何があったの?
これで双葉に何かあったときは……ごめんね……。
双葉は部屋を飛びだし、ミミを探しにいくのであった。