悪意の堕天使と囚われの蝶
文字数 1,188文字
里紗は、痛かったのか顔をしかめている。
それを見つけた昴は、二人の間に飛び込み、大河が握りしめていた里紗の手首を離した。
歌音が、大河と途中で会った時、異変に気がついた。
彼の目のいろは、灰色がかった青色だったのに……この時は、真っ赤に染まっていることに気がついたのだ。
音楽の堕天使が、悪意に満ち溢れていたこと……。
音楽の揚羽蝶が、五線譜のワイヤーに囚われている事に……。
歌音は、この現状をどうしようか、と考えを巡らせたが、答えが出ることはなかったのであった。
世界から音楽が失われる……。そのようなカウントダウンが始まっている事にも気がついていなかった。