ドラマチックアイロニー
文字数 1,391文字
灯台公園の片隅の草むらに歌音たちは隠れ、夕陽の動向を見ていた。夕陽が、優しいことは知っている。だからこそ、心配なのだ。
くっそー、ちゃんと隠れていた上に、こそこそ話していたはずなのに……。
この動向を確認する行為が、夕陽をドラマチックアイロニーに巻き込んでいたことにこの時、気がつかない。
日が水平線に沈みかけた頃、遂に夕陽が話し始める。
歌音は、咄嗟に草むらから飛び出た。そして、叫ぶ。
歌音たちは、結局誰も助けられていない。歌音の目から涙が溢れて目の前が滲んでいく……。こんなに痛々しいの見ていたくない……。苦しい……。
ナリスの言っていたことが正しいのだと思い知らされたのだった。