大好きな人に届け
文字数 1,841文字
はっきり言ってしまえば、魔法を使うとそれなりの体力を消費する。ナリスもぐったりと地面に項垂れていた。
圭は、その三人が誰なのかすぐに気がつき、走り出す。明里も圭を追いかけるように三人の人影に近づく。
一面白に包まれた空間に一人でいる。怖いと思う感情は生まれなかった。
誰もいないのが、幸いだ。
歌音の耳に少女の声が響いてきた。
歌音には、意味が分からない。
違う能力を違う人に入れる事は、不可能だと一成から言われていたのも覚えている。
それでも香苗は、能力の器を替えたと言うならば、とんでもない副作用が出ていてもおかしくない。
しかし、その副作用は不思議なことに全く出ていなかったのだ。
歌音は、それにつられるように歩みを進めるのであった。
その先が正しい選択肢だったのか……。それを知るのは少し先の話。