ナリスとの作戦会議 その20
文字数 2,358文字
徐々に歌音たちは窮地に陥り始めてもいた。迫り来る闇にのまれそうになっていることに気がついたナリスは、とんでもないことを口走り始めた。
深呼吸を数回した後、重たい口を開いた。
歌音自体、悠とはそんなに仲が良くない。圭とキスしたあの日位から汚いものを見るような目で見つめてくる。
それでも、話をした今日は圭を心配する兄としての役目さえ垣間見る事が出来た。
だから、ますます悠の事が分からなくなってきた。
廊下を走る歌音は、ナリスの事なんかどうでもいい。胸にナリスの顔面を押しつけ、廊下を駆け抜ける。階段を下りている時だった。
もう一〇分経ってしまったのか?
室内には、煙が渦巻いており、歌音は咳き込む。
歌音の意識は、ここまででそのまま途切れてしまった。