狂った愛の先に③
文字数 1,995文字
しかし、焔の音にかき消され、みんなには届かない。どうしたらみんなを助けられる? こんなにも延焼が早かったらもう間に合わない。誰でも良い。誰でも良いから……。一人でも良い。先生たちを見つけて、この場所を知らせて……。
もしかして、これが今まで隠していた本当の感情なのか? それを理解するには、悠には簡単な事だった。
もしかして、明里も曰く付きの楽譜を見たのだろうか?
それを解除する方法すら、世間には知られていない。「ライラック」の花言葉は、初恋・謙虚・友情。それが表すものなんて理解できない。友情なんて昔からあるし、謙虚さは欠けているかもしれないが、そんな事どうでも良い。初恋……検討がつかない。
その時だった。歌音と圭は気がついていないが、天井の崩落が始まった。崩落が始まってしまうと厄介だ。すぐに崩れてしまう。
なかなか痛みが来ない。歌音は閉じていた目を開いた。
何とか脱出に成功したのだ。