10月定例コンサート③
文字数 2,198文字
歌音も名前を知られている学生指揮者であり、ピアノもプロ並みに出来る有名人だ。そんな二人が付き合っていると知られるとすぐに週刊文春みたいなスキャンダル雑誌に顔写真にモザイクをかけられたものがすぐに出回るにちがいない。きっとそうにちがいない!!
圭は、焦った。急いで楽器ケースにトランペットを片付け、楽器ケースを肩に背負った。
圭の言うことの発信力がどれだけ凄いものか歌音はこの時理解できたのだ。
圭は歌音の手をとり、
しばらく走って圭と歌音は、学園に戻ってきた。ここに入ってしまえば、誰も追いかけてくることはないだろう。
音楽堂から離れた学園の中庭に圭は寝転がった。ここまで来れば誰も追いかけては来ない。二人は安心しきっていた。
明日からは十一月だ。まだ日差しは、夏の名残があり、少し眩しい。校庭の銀杏や紅葉も色づき始めているのが分かる。
そして、もうすぐ雪の季節になるんだと思うと寂しく思う。
これは、天候が悪化しそうだ。そんな気がした。歌音も空を見上げ、流れていく雲を追いかけた。
そして、この日の本番を迎えるのであった。コンサートは無事に終演を迎えることが出来るのか……。
この腐った世界で歌音たちは音楽を奏でる。