音楽のフェアリーの求める本当の恋
文字数 1,201文字
それに郁は苦しんでいた。
しかし、いざとなると助けを求める事すら怖くて怖くて仕方なくなる。助けてほしいのに助けを求められない苦しさ……。
とにかく郁は苦しんでいたのだ。
そして、郁は圭にお礼を言い、その場を離れた。
彼女が向かうのは、レッスン室Aルーム。
今日は、そこで大河が練習していると聞いて……。
郁は、レッスン室の窓から中を覗く。大河がピッコロを吹いているのが見えている。「第六の幸福をもたらす宿」の第三楽章、happy endingのピッコロソロの練習をしているのが見えた。
郁は、扉を開けるために一度扉をノックした。こんこん、という乾いた音が廊下に響き渡った。
このような突拍子もない発言を言われると、誰でもこうなることは分かりきっている話なのだ。
だから、郁は大河に恋という名の復讐をしようと心に決めていたのであった。