閉鎖空間の世界
文字数 2,177文字
詩織は、学校の屋上で天を仰いだ。こんなにもめちゃくちゃな感情を抱いたのは初めてで詩織には、戸惑う重大な問題となっていた。詩織の心の溝を深めているのは、聡太の復活したことの喜びと恋心・憧れを抱きつつ、ずっとこの思いを秘めている状態を維持していかないといけない辛さを持っていたのだ。
詩織は教室に入ると自分の席につく。詩織が席に座ると後ろからけらけらと笑い声が響いてくる。詩織の大好きな聡太の声だ。喋っているのは、昴と夕陽だろう。所々に夕陽の毒の聞いたスパイスとなる毒舌が入る。それが詩織にとっては、楽しみの一つになっている。大好きな人の笑い声を聞けることはとても嬉しいことなのだ。
詩織は、何かを隠している。聡太が好きだけど告白はしていない……の他にも何か秘密を秘めているはずだ。歌音には、見えている。姫巫女の世界は、閉鎖空間だ。何もない閉鎖的な空間に姫巫女一人が閉じ込められているように思えたのだ。
しかし、世界はそんなに甘くなかった。
この時の詩織は、まだその事を知らない。