堕天使とフェアリー
文字数 1,628文字
歌音たちは、最終日の仮面舞踏会は、演奏側に回ったのでダンスには参加できなかったという。
仮面舞踏会の恋愛の噂、「男女間で仮面の交換をすると恋が叶う」という噂の解明には至らなかった。
何も珍しい話ではない。
合同演奏会には、強豪校も集う大演奏会らしい……。
歌音たちの高校も参加することになる。
何と今年は有名な世界的指揮者が来るみたいだ。
この事について、クラスの話題は膨れ上がりつつあった。
しかしだ。この一声に、歌音の決意はへし折られた。
里紗は、自分の譜面とにらめっこをしといて、大河の存在をなきものにしようとしているのも分かる。
歌音は、見ていて気分を害してしまった。悪意を感じた。とてもとは言えない深い闇……。堕天使は天使になりきれず、心優しい天使に心を開く。それでも綺麗な蝶に嫉妬し、闇に閉じ込めてしまっていた。蝶は行き場をなくし、誰かに助けを求める。
その相手の姿さえを消し去る闇がそこに存在していたのだ。
歌音は、その姿を見守ることしか出来ない。
その前にパートリーダー会議で郁を説得してみようと歌音は、立ち上がるのであった。
本格的な秋が近づき、木々も色づき始めていた。